シンジとレイがお互いのぬくもりを感じながら寝ていたそのころ、ついに恐怖の大魔王が帰ってきた。


「シンちゃーん、今帰ったわよー!」


言わずと知れた家主の葛城ミサトである。いつもは酔っ払って第三新東京市立第2中学校に勤めている加持に連れられてくるのだが今日は珍しく酔っ払ってはいなかった。


「シンちゃーん、シンちゃーん!あれ?おかしいな。もう帰ってるはずだけど・・・。もしかして部屋で先に寝てるのね。よし、それではこのおねーさんが優しく起こしてあげましょう!むふふふふ・・・。」


単に酒の相手や酒の肴になるような話のネタにしようとしているだけであった。


そして、彼女は部屋の前まで来ると一度動きを止め、そしてその溜めのあと一気にふすまを開いた。


シンちゃーん!おねーさんと一緒に人生について語りあおー!


・・・・・・・・・


しばしの沈黙の後、


し、しっ、シンちゃんあなた何やってるの!その子はどうしたの!?



R・E・I
第2話・〜波乱の幕開け!?〜



シンジはその声で目が覚めた。そして声の主を見てから、自分の今の状況を見て思わず真っ赤になって弁解を始める。


「み、みっ、ミサトさんこれは深いわけがあって、その、なんて言ったら良いのか。とにかくレイさんにやましいことをしたわけじゃないんだよ。」


「へー、その子レイって言うんだ。シンちゃんも隅には置けないわね。もう女のこの名前まで知ってるし。しかも部屋に連れ込んで抱き合って寝てたのね。ふーん。」


「だから、やましいことをしようとして抱き合ってたわけじゃありません!抱き合って、お互いの気持ちを確かめ合って安心したら眠気が襲ってきてそのまま二人とも寝込んだだけです!」


「ほら、やっぱりそうじゃない。お互いに好きあうもの同士が気持ちを確かめるために抱き合って寝てただけでしょう?」


にやにやしながら話すミサト。それと対照的に弁解すればするほど深みにはまってしまうシンジ。


そしてミサトがシンジをしばらくからかっているとレイが起きた。


レイは何度か瞬きをすると、周りの状況を見た。年の頃20〜30歳のじょせいがシンジをからかっている。レイはそれを見て女性に反論した。


「シンジさんを不快にさせないでください。もしこれ以上何かするのであれば 四方護天使 の内の一人、この 【風の天使 レイ】 守護天使 としてあなたに天罰を与えます!」


最後のあたりはかなりトーンの低い声だった。ミサトはその意味が分からなかったが、迫力に負けて一歩後ず去った。


「わ、わかったわ。とりあえずからかうのは、や、止めましょう。」


少しどもっている。それだけ迫力があったのだ。ミサトは気を取り直してシンジにその子を紹介してもらおうと思った。


「とりあえずシンちゃんその子のことを詳しく聞かせてもらいましょうか?」


顔は相変わらずにこにこしている。酒の肴になるような話にありつけた証拠だ。


「レイさん、ミサトさんにすべて話しても良い?」


シンジの問いにレイはゆっくりと頷いた。さっきから見ているが、この女性がシンジを不快にさせているのではなくむしろ気遣っているような感じがした。それだけで、彼女が信頼に足る人物だと分かったからだ。


「それじゃ、ミサトさん。これから話す事を他言しないと誓えますか?そうでなければ話すことはできません。」


シンジはいたって真剣だった。その表情を見れば誰でも遊び半分ではないことに気がつく。そのためミサトはにこにこした顔から一変してまじめな顔つきになり、


[マジな話しなのね。]


そう心の中でつぶやくと、シンジに向かって頷いた。


それを見てシンジは語り始める。彼女が実は天使であり、先の魔物との戦闘で力を使いすぎてこの世界に落ちてきたことを。しかもこの世界以外にも世界があってこの世界がその残りの世界のちょうど真ん中にあることも。シンジは自分がレイから聞いたことを一言一句もらさぬようにミサトに教えた。その話が終わりしばらく考え込んでいたミサトが、


「つまり、レイあなたはこの世界から外の世界への戻り方もわからないし、この世界のことはほとんど知らないのね?」


「そうです。この界に来てからあった人物はシンジさんとあなただけです。」


「そんな他人行儀な言い方はしないの。ミサトさんで良いわよ。どっちにしろここに住むんでしょ。これから楽しくなるわね!」


「じゃっ、じゃあミサトさんここにレイさんが住んでも良いんですね。」


「もちろん、OK!よ。」


「ありがとうございます、ミサトさん。私なるべくできることはしますから。」


「いーから、いーから。まだ無理しないで休んでなさい。それに大体のことはシンちゃんが一人でやってしまうから。」


「そうなんですか?シンジさんが家の中のことをすべてしてるんですね。」


「すべてというわけじゃないけど、大体は僕だけでやってるよ。」


「すごいんですねシンジさんは。ところで、さっき私が行ったとき何をしてたんですか?」


「それは夕ご飯を・・・。」


そこまで言いかけたときシンジは大変なことに気がついた。


やっばーい!夕食作りかけだった!


えー!シンちゃん夕食まだ作ってなかったの。 おなかすいたよー・・・。


「すいませんミサトさん。レイさんを運んできてから食事の支度をしてたんですけど。レイさんがふらふらになりながら起きてきて彼女を部屋に連れて行ってから二人で寝込んでしまったんです。ですから、下ごしらえだけで作っていなかったんですよ。」


「そうなのそれじゃあ仕方ないわね。けどこれからどうするの?夕食出前で取る?」


「いいえ、僕が作りますよ!だって新しい家族が出来たんですよ。盛大にお祝いしないと。それに、僕が言わなくてもミサトさんそうしようと考えてたんじゃないですか?」


「あちゃー、シンちゃんにはかなわないわね。まあシンちゃんがそういってることだし今日は盛大にぷぅぁーっとやりますか!」


「分かりましたミサトさん。それじゃレイさんここでちょっと待ってて、これから僕が料理の支度があるから。それまでゆっくりしいて。」


そう言ってレイから離れようとしたときにレイがシンジの袖をつかんで自分の方に抱き寄せた。シンジはしばらく何が起きたのか分からなかったが、しばらくして自分がレイに抱きしめられているのに気がつき顔を真っ赤にしてしまった。


「どっ、どうしたの?レイさん。急にこんな事して。」


そう言ってレイの顔を覗くとレイは涙を流していた。


「レイさん、泣いてるの?」


「私泣いてるの?けど悲しくないむしろ嬉しい。シンジさんとミサトさんの優しさが嬉しくて涙が止まらないんです。」


その言葉を聞いたシンジは、抱きしめられた腕をそっとはずし自分から抱きしめた。そしてレイに囁いた。


「レイさん泣かないで、さっきのような笑顔を見せてよ。僕はレイさんの笑顔を見ていたいよ。」


レイはとてもうれしかった。シンジは私の笑っている穏やかな表情が見たいと言ってくれた。聖光界にいたときにはそんなことは無かった。四方護天使であるがためにどんな時でも厳しい表情を崩さずに行動しなければならなかったため、周りの天使からはそんなことを言われたことも無かった。そのこともあってシンジの言葉はレイの魂をも揺さ振るほどの効果をもたらした。


レイはしばらくシンジに抱きしめられていたが、自分を抱きしめている彼の腕をそっと解き、眼のあたりを手で拭ってからシンジに極上の笑みを見せてくれた。


シンジは思った。これが天使の微笑みといわれるような笑顔なのだろう。(実際彼女は天使なのだが・・・)この笑顔を見てまた彼女への思いが強くなるシンジであった。


「あのー?ちょっち、わたしのことお忘れでないかしら?」


その声によって二人はもう一人の存在を思い出した。気まずそうに後ろを振り向くとそこにはにたにたしながらミサトがこっちを見ていたのだった。


「ミサトさん、今のやり取りをそこで見てたんですか?」


「もっち、最初っから最後までね!」


相変わらずにたにたしている。
「イヤー、とっても良い雰囲気だったわよしシンちゃん!男としての才能十分だわね!」


「からかわないでくださいよミサトさん!今言ったことには嘘偽り無いし、レイさんを守りたいのも事実です。」


そう言って誤魔化したつもりだが、それでもシンジは恥ずかしかった。二人っきりならまだしも第三者がいるところでこんな大胆なことをしたのである。そこまで考えてからシンジはふと思った。


[僕でもこれだけ恥ずかしいけどレイさんはどうなのかな?]


そう思ってレイのほうに振り替えると彼女は頬を真っ赤に染めながら恥ずかしそうにうつむいていた。


[やっぱり恥ずかしいんだ・・・。]


シンジは、やはりレイが天使であっても年頃の女の子と変わらないと思った。頬を真っ赤に染めて恥ずかしそうにうつむいているあたりなどはまったく普通の女の子と変わり無かった。


「とりあえず良い雰囲気のところ悪いんだけど、夕ご飯作ってよシンちゃん。」


「わかりましたよ、ミサトさん。じゃあ腕によりをかけて作りますね。それじゃレイさんゆっくり休んでね。」


シンジはそこまで言うと部屋から出て行った。


結局部屋にはミサトとれレイが残った。これを良い機会だと思ってミサトはレイに話し掛けた。


「レイ、シンジ君を助けてあげて頂戴。」


「助ける?どういうことですかミサトさん?」


「シンジ君、まあ本人が言いたがらないからわたしも詳しくは知らないんだけど、シンジ君はね小さいころ心に大きな傷を作ってしまったの。できた理由などは知らないけど、なんでもその出来事は自分のせいで起きてしまったと思い込んでしまってるの。この世界から帰る方法が分かったら居なくなってしまうあなたに頼むのは筋違いだとは思うけど、私以外にこんなに早く心を開いた人はあなたが始めてなの。だからお願い!あなたがシンジ君のそばにいられる間だけでも良いからその心の傷を癒してほしいの!」


ミサの表情は真剣そのものだった。さっきまでのお茶らけた雰囲気は微塵も無くその表情は周囲に無言の雰囲気を作り出した。


例はしばらく考えてから、


「わかりました、ミサトさん。わたしが出来る限りのことをしてみます!」


と真剣に答えを返した。その答えに安心したミサトは、


「ありがとうレイ!わたしではだめなのよ。だからお願いね、シンジ君のこと頼んだわよ!」


「はい!シンジさんの心を絶対癒してみせます!だってわたしは、シンジさんの 守護天使 なんですから!」


レイも真剣だった。自分のもっとも頼れる存在であるシンジが、実は自分が知っているよりももろい存在だと知ったため絶対に守りたいと思う母性本能をくすぐった。それに、守護天使となった以上は自分の主人を助けるのが使命なのである。つまり、レイの最初に与えられた使命はとても難しく時間のかかるものとなった。


「よく言ったわ、レイ!それでこそ女ってものよ!それぐらいじゃなきゃシンちゃんを他の誰かに取られちゃうわよ。」


にたにたしながらミサトが言った。


「そんなの絶対にいや。シンジさんはわたしが守るもの。」


顔を真っ赤にしながらもレイはミサトに言い返した。


「そうそう、素直になりなさい。そうすればシンちゃんの心は永遠にあなたと一緒にあるわ。がんばりなさいレイ!」


そう言ってミサトはレイの頭をなでた。


そんなこんなしているうちにキッチンのほうから待ちわびた声が上がった。


「ミサトさん!レイさん!準備が出来ましたよー!」


その声を聞いてミサトとレイはキッチンへと歩き出した。そして、その数分後には新しく増えた家族を交えた楽しい食事が始まったのだった。




追記


この後二人の話をネタにミサトの宴会は3時間も続いたそうな・・・。

シンジ君、レイさんへ


合掌



BACK TO THE STORY

GO TO NEXT STORY




あと書きゅ!(作者とキャラの雑談パート2)


:どうもW’Yです。今回はゲストにレイちゃんをお呼びしております。

:皆さんこんにちは。レイですよろしくお願いします!

:それにしてもシンジ君と熱々じゃないの。書いてるこちらがわとしても喜ばしい限りなのだが。

:そんなにいじめないでくださいよW’Yさん。でもシンジさんのことは大切に思っています。これだけは間違いようがありません!

:はいはい、ごちそうさま。それにしてもだんだんシンジ君の過去について触れ始めましたね。これからさらにいろいろありますから覚悟しといてねレイちゃん。

:そうなんですか?とりあえずシンジさんが危険な眼にあうのだけは書かないでくださいね。お・ね・が・い!

:そんな言い方してもだめです!ファンタジーも入っているんだからちゃんと戦闘もありますよ。だから、そういう約束は出来ません!

:そうですか、やっぱり危険な眼にあってしまうんですねシンジさんは。だったらわたしが守らなきゃ!

:そうそうそのいきそのいき。がんばっていこー!

:それは良いですけど、W’Yさんそリミットアップですよ。

:ええ、もう時間なの?いつもながらコメントが・・・。けどしかたないか。それでは感想のメールお待ちしています。

:誤字脱字や読みにくい部分の苦情のメールも24時間OKです!

W・レ :それでは皆さん



また第3話の後書きで会いましょう!!!




メールの宛先はここをクリック!



TOP