にぎやかだった夕食も終わってしまい、
シンジは食べ終わったお皿とかを流しに持って行って洗っていた。

レイは食後にもらってお茶を飲んでいた。

ユイとレナは先ほどからずっとワインを飲んでいる。

「もう、母さんどれだけ飲むつもり?
帰れなくなるわよ」

「あら、母さんは今日泊まる予定だったけど・・・」

「え? き、聞いてないわよー」

「言ってないもん・・・」

「う゛・・・。そ、それに私、明日学校どうするのよ?」

「あら、明日は第2土曜日よ。そんな日に学校に行くの? かんしんね〜」

「大丈夫よレイちゃん。おばさんのパジャマ貸してあげるから」

ユイがレナとの会話に割り込んで来た。

いや、そう言うわけじゃなくって・・・・・。

「もう、・・・そ、それに・・・パジャマはいいけど・・・。
その・・・し、下着とかは・・・?」

最後の方はもちろんシンジに聞こえないように小声でいった。

「大丈夫、持ってきてるから」

い、いつの間に母さんは持ってきたんだろう。レイは唖然とした様子でレナを見ていた。

その頃シンジはようやく洗い物をすませ、レイの横の席に座ったとこだった。

「母さん、僕もレナさん達が泊まるなんて聞いてなかったよ。
言っておいてくれれば母さん達の部屋と、もう一つの部屋をかたづけて置いたのに・・・。
僕の部屋だけじゃレナさん達は寝れないよ。
今から急いで片付けようか?」

シンジが困ったようにそういうと、ユイは小悪魔のように瞳を輝かせた。

「大丈夫、私とレナはここに寝るからさ」

「じゃあ、綾波さんはどこに寝るのさ?」

「ああ、シンジ君の部屋で一緒に寝ればいいんじゃない」

レナもユイと同じように瞳を輝かせた。

「ええーーーーー!」

シンジとレイは見事にユニゾンしながら叫んだ。

だが、ユイとレナはそんな事どうでもいいかのようにワインを一口含んだ。

「別にいいでしょ。それともなに? シンジはレイちゃんを襲う気なの?」

ユイがそう言うとシンジは顔を赤くした。

「な、そ、そんなことしないよ。
分かったよ。じゃあ、布団おしいれから出さないとな・・・。」

シンジはそう言って立ちあがった。
レイもシンジのあとにつづいて立ちあがった。

「レイ。いくらシンジ君が襲ってこないからといって、シンジ君を襲ったりしてはダメよ」

「そ、そんな事しないわよ!」

そう言うと2人とも顔を赤くしながらダイニングから出て行った。


第  3  話

苦労人シンジ


レイとシンジはシンジの部屋にいた。
あのままダイニングにいたら、あの酔った二人に何を言われるか分からないからだ。
ユイとレナはシンジ達がダイニングを出る頃、15%のアルコールの入ったワインを一本あけていた。
危険を感知した二人はそのままダイニングを後にしたのだった。

「へぇー、碇君の部屋、ちゃんと片付いてるのね。もっと散らかってるかと思ったよ」

レイは部屋の中を見回しながら言った。
押し入れがあり、クローゼットがあり、ベッド、机がある。
もちろんその机の上もきちんと整頓されており、床には不要なものなど落ちていない。
部屋の大きさは10畳といったところだろう。

シンジは苦笑して答えた。

「はは、まだここ片付けて日がたってないからね」

「ふーん」

「はぁ、まだ母さん達飲んでるのかな? ねえ、綾波さんのお母さん・・・」

「碇君!」

シンジの言葉をレイがさえぎった。

「ど、どうしたの?」

「ねえ、その綾波さんっていうのやめない。みんな綾波って呼ぶからそれでいいよ」

「そ、そう? じゃあ、これからは綾波って呼ぶよ」

シンジは笑って答えた。

「うん! で、私のお母さんがどうかしたの?」

「うん・・・。レイのお母さんもあんな感じなの? よくお酒飲む?」

「うーん・・・。普段はあんなに飲まないわね。たまに飲むかな?」

「ふーん、そっか・・・。なんか、うちの母さんみたいだね。あの二人やっぱどこかでつながりがあったりして」

シンジがそう言うと、レイも身をのり出して来た。

「でしょ! なんかすごくよくにてるもんね。他人の空似にしてはにすぎてるし」

レイが言葉をきった時、部屋のドアが開いた。

「レイちゃーん、お風呂は入れるわよー」

そのドアからは、ワインで顔を赤くしたレイの姿があった。

「分かりました。じゃあ、入らせてもらいます」

レイは自分の着替えを取りに、酔っぱらっている母親の元へと向かった。
レイが出て行った後、ユイがシンジの方を意味ありげな視線で見ていた。

「ん? どうしたの母さん」

そう言うと、ユイはにこっと微笑んだ。

「私は少しお邪魔だったかな?」

ユイはそう言って、レナの元へと歩いて行ってしまった。さっきの意味がわからないシンジではない。
何を言われてるか理解し、顔を赤くしてしまった。
とりあえずシンジは、部屋に残っても何もやる事ないのでユイやレナのいる元へと向かった。

ダイニングに入ってきたシンジはその光景に唖然とした。
テーブルの上にはワインが3本、ビールびんが2本置いてあった。
シンジは、もしやと思い、そのワインを持ち上げてみた。・・・軽い。
そして、適当に出ていたグラスにさかさまにしてみるが、何も出てこなかった。

「あ、シンジ。そこにおいてあるワインとビールびん空だからね〜。捨てておいて」

シンジの行動を見ていたユイが真っ赤な顔で言った。隣に座っているレナもユイとは比べ劣らず赤い顔をしている。

「母さん、あまり飲みすぎないようにね。レナさんも」

少し遅かったかなっと思ったが一応シンジは言っておいた。
まぁ、こんな事右耳から入って左耳から抜けて行くんだろうけど。

「大丈夫、大丈夫♪」

ユイはグラスに入っているビールを飲みながら言った。

」『全然大丈夫じゃないじゃないか・・・』

シンジがそう思ったときだった。気が付くと、シンジの前にグラスが出されていた。

「ほら、シンジ君もどーぞ」

レナはそう言ってグラスにビールを注ぎ出した。

「ちょ、ちょっとレナさん、僕まだ未成年ですよ」

「いいからいいから、ホラ♪」

そう言ってレナはシンジにビールの入ったグラスを渡した。
いや、むしろシンジからしてみれば無理やりに渡されたと言っていいだろう。

(仕方ないな・・・。じゃあ、一杯だけ・・・)

シンジは仕方なくユイとレナに付き合うことにした。

「シンジ君も見ないうちに大きくなったわよねー」

レナはシンジを懐かしそうな目で見てきた。その言葉にシンジは首をかしげた。

「え、しばらくって・・・? 僕にあったことあるんですか?」

「ええ、もちろんよ。あの頃のシンジ君も可愛かったわねー」

「? 僕がレナさんとあったことあるなら綾波さんともあったことがあるんですか?」

「ううん、その時はレイは家で留守番」

「そうですか。でも、いつ僕レナさんと会ったんだろう・・・。全然記憶にないよ・・・」

シンジはグラスに入っているビールを見ながらつぶやいた。

「そうねー・・・。たしかあれはシンジ君が小学校入るか入らないかの・・・」

「レナ!」

レナの言葉をさえぎってユイが怒鳴った。
シンジはユイのその行動を驚きが隠せない目で見ていた。
普段優しくて、シンジ自身でさえ今のように怒鳴られたことはない。
そんなユイがいきなりレナに向かって怒鳴ったからだった。
ユイは自分のグラスを勢いで倒していた。
グラスに入っていたビールはテーブルへと流れて、床をぬらした。

「・・・ごめんユイ。つい勢いに乗っちゃって・・・」

レナは本当にすまなそうにユイに謝っていた。
シンジはユイがこぼしたビールをふきんでふき取っていた。

「・・・ごめんレナ。怒鳴ったりして」

ユイもすまなそうに顔をうつむけた。
シンジはビールをふき終わり、ユイのグラスに一応ビールを注いでおいた。
が、シンジはあることに気が付いた。それは・・・

「・・・小学生?」

席に戻ったシンジは先ほどのユイの会話に出て来た言葉をつぶやいた。
その様子に気がついたユイとレナはあせった。

「シ、シンジ。さ、び、ビールのみましょうよ」

「そ、そうよ。せっかくシンジ君が注いでくれたんだしさ。ね、ほら・・・」

ユイとレナのそんな行為はシンジには全く通じなかった。
シンジの頭の中では先ほどユイが言った小学生という言葉が、あることをシンジに告げていた。

「・・・僕、小学校の時の記憶がないんだけど・・・」

シンジは首を傾けながら言った。

「あ、ほら・・・、それは・・・」

必死にユイがごまかそうと言葉を探していたときだった。
シンジは後ろから誰かに目を隠された。
シンジの視界が突然真っ暗になった。

「わ!」

シンジは反射的にそう言ってしまった。
シンジの後ろではくすくすと小さな声で笑い声が聞えた。 

「だ〜れだ♪」

シンジはその声を聞くと、自分の視界を閉ざしているものをどけようとする行動を止めた。

「・・・綾波だろ」

そう言うと、シンジの視界を閉ざしていた手はゆっくりとどいた。

「せいかーい♪」

シンジが後ろを向くと、レイは笑顔でこっちを見ていた。

「碇君、お風呂、お先に」

シンジは風呂上りのレイを見てかたまっていた。
ユイのサイズなのでちょっと大きめのパジャマ。
そして、まだほんのりぬれている髪。
そう、一言で言うと「かわいい」。それ以外の言葉なんか見つからない。

「どうしたの? 碇君」

シンジは我に帰って気が付いた。
・・・ずっと綾波を見ていたみたい。

「あ、いや、なんでもないんだ。うん」

「?」

レイは不思議そうに首を傾けた。
そのしぐさもまた可愛かった。
シンジはさっき必死に小学生の頃の記憶を考えていたことなど忘れていた。

「あ、そ、それじゃ、お風呂に入ってくるよ」

シンジはそう言うと席を立った。逃げるようにシンジはその場を退散した。

「碇君、どうしたんだろう」

レイは心配そうな顔をするが当の母親二人はシンジがなんとか脱線してくれたので安著の息をついていた。

「レイちゃん、ありがとう。助かったわ・・・」

ユイとレナはそう言ってほっと胸をなでおろした。
レイはきょとんとした顔のままいすに座った。

「ユイさん、碇君には何が起こってるんですか?」

レイは真剣な顔でユイとレナに聞いた。
ユイとレナは少し考えていたが、ユイが重い口を開いた。

「ごめんなさい、レイちゃん。・・・やっぱり、まだ何があったかは言えないわ。
いずれ時期がすぎたら・・・話すわ・・・。まだ、何も起きてないし、大丈夫だと思うから」

「そうですか・・・」

レイはさみしそうな表情をしてうつむいた。
そして、しばらくの沈黙のあと、ユイが再び口を開いた。

「レイちゃん、シンジのことで頼みがあるの・・・」

「なんですか?」

レイが顔を上げると、酔っていたユイが真剣な顔をしてレイを見ていた。

「シンジを・・・、守ってやって欲しいの・・・」

「・・・碇君を?」

レイが聞くと、ユイは静かにうなずいた。

「でも、守ると言ったって・・・」

「レイちゃんはシンジのそばにいてやってほしいの。
多分それがあの子にとっても精神的メンテナンスになると思うの・・・」

「・・・・・・・」

「お願いできる?」

レイは迷っていた。事情もわからないし、なにしろ、今日転校して来て初めてあった人を守れということに・・・。

「・・・いいわ、無理なら仕方ないわ・・・」

心なしかユイの声が沈んでいる気がした。ふっと見ると、表情もうかない感じだった。
きっと、レイがシンジを守ってくれると思っていたからだろう。
ユイにしてみれば裏切られたも同然なのだ。
ユイだけでなくレナの顔も暗くなっていた。
レイはとっさに罪悪感を覚えた。


その頃のシンジ

「・・・やっぱりお風呂はいいなぁ。それより、さっきの綾波かわいかったなぁ」

・・・・・・くつろいでいた。


「レイちゃん、もう一つお願いがあるの。
そんなに難しいことじゃないわ。
ただ、あの子に昔のことを思い出させないようにしてあげて。」

「・・・昔のことを?」

ユイはうなずいた。

「そうよ。あと、レイなら大丈夫だと思うけど、シンジ君にあまり心を近づけない方がいいわ。
これはレイじゃなくてほかの人にも言えることよ。
シンジ君に心を近づけすぎると、後々・・・辛くなるわ・・・」

ユイの代わりにレナがレイに言った。
ユイは横でうなずいていた。
少しレイに対して皮肉の入った言葉を、レイは素直に受け止めていた。

「さぁ、そろそろシンジ君がお風呂から出てくるわ。こんな話やめましょう」

ユイは作ったような明るい顔でそう言うと冷蔵庫からビールびんを2本ほど取り出して来た。
もちろんシンジが気をきかして、今日、レイと一緒に買ってきたやつだ。

「さぁ、レイも少しは飲みなさいよね」

「えー!?」

レナはそんなレイの声を無視してレイにグラスを渡すと、そこにユイがビールを注いだ。

「レイちゃん、少しは大人の付き合いも必要よ♪」

ユイはレイにウインクして言った。
レイは仕方なく自分のグラスに入っているビールを一口飲んだ。ビール独特の苦味が口中いっぱいに広がった。
その時、ユイがなにかやっているのに気が付いて、レイはそちらに目をやった。
ユイは先ほどシンジが飲んでいたグラスに新たにビールを注いでいた。
レイの視線に気付いたユイは、にこっと微笑んで言った。

「シンジにも少しは飲ませなきゃね♪」

(可哀相にシンジ君)

そしてその後、適当な話題で盛り上がってるうちに、シンジはお風呂から出て来た。

「お母さん、レナさん、お先に・・・。二人はどうするの、お風呂?」

「そうね、一応そのままにしておいて」

ユイの言葉を聞いて、シンジはレイの横の椅子に座った。
そして、先ほど自分が飲んでいたググラスの中身を見て疑問を覚えた。
たしかお風呂に行く前は半分ほど飲んだはずなのに、今は並々と注がれている。

「・・・母さん、もしかして・・・・・・・注いだね?」

「え? 母さんは知らないわよ。気のせいじゃないのぉ?」

ユイはわざととぼけて見せた。

(・・・注いだな)

仕方なくシンジはグラスに口をつけた。
隣を見てみると、レイもグラスに口をつけてビールを飲んでいた。

「あれ? 綾波も飲んでるの?」

「そうなの、あの二人に勝手に注がれたの」

レイはわざとらしく泣くまねをして見せた。
シンジはその様子を苦笑しながら見ていた。

「ちょっとレイちゃん、それはないんじゃない。・・・まあ、大半そうだけどさ」

「はぁ・・・、二人ともよく飲みますね・・・」

「え、シンジ君、もっと飲みたいの?」

レナがからかってそう言うと、シンジは「・・・勘弁してくださいよ」と、情けない声でそう言った。
そんな光景にユイもレイも笑っていた。


時計の針は、もう2時をさしていた。
お酒を飲んでぐでんぐでんに酔っぱらっていたユイとレナの二人はシンジによってリビングへと運ばれ、
そこでぐっすりと眠っていた。
レイはというとこちらもお酒が回っていたのか、12時の時点でテーブルに突っ伏していたところをシンジによってシンジの部屋に運ばれ、シンジのベッドで眠っていた。
唯一起きているシンジは、ダイニングのすさまじい光景の中、片付けに追われていた。

「・・・ふぅ。まったくよく飲むよな・・・、母さんとレナさん」

片づけをしている手を止め、シンジはため息をついた。

「僕達にまでお酒飲ますなんて・・・。
まあ、母さんはよく僕を巻き添えにするから分かるけど、まさかレナさんまで・・・」

シンジはレイと同じ位の量を飲んだのだが、普段酔ったユイに酒を進められることがあったので多少は抵抗がついていたのか、レイほど酔いはしなかった。
その後、シンジはもう一回ため息をついて、再び片付けを始めた。

結局全部終わったシンジが時計を見ると、2時30分を回っていた。

「はぁ、もうこんな時間か。もう寝なくちゃな・・・」

シンジは自分の部屋へと向かった。
部屋に戻ったシンジは自分のベッドで寝ているレイを起こさないように押し入れから布団を出して、横になった。

(はぁ、今日は疲れたな。
まさか、綾波がうちに来るとは思わなかったし、母さん達は酔っちゃうし・・・。
それにしても・・・)

シンジはベッドで寝ているレイを見た。
天使のようなかわいい寝顔をしたレイが自分のベッドでかわいらしく寝息を立てている。

(なんか同じ部屋で寝るのって変な感じがするな・・・)

シンジは恥ずかしそうに頭をかいた。
そして、レイの寝顔をもう1度見た後、シンジは眠りの世界へと飛び立って行った。


次の日、シンジはお酒を飲んだせいで、いつもより起きるのが送れてしまった。
と言っても、まだ時刻は8時なのだが・・・。シンジは眠い目をこすりながら起きた。

「はぁ、もう8時か・・・。あれ、そう言えばなんで僕は布団で寝てるんだっけ?」

お酒のこともあるのか、シンジの頭はまだぼーっとしていて、正常に働いてはいなかった。
寝ぼけているシンジは自分のベッドの上に視線をうつした。

「!?」

空色の髪をした少女が、天使のような寝顔でシンジの方を向いていた。
一瞬その光景に見とれたあと、シンジはようやく我にかえった。

「そうだ! 昨日綾波と綾波のお母さんがうちに泊まっていったんだった」

シンジはレイを起こさないように着替えをすますと、リビングへと向かった。


「多分母さんのことだから・・・。」

シンジがリビングのドアを開けると、そこにはシンジの予想した通りの光景があった。
親二人ともソファーの上でぐっすり眠っていた。

「はぁ・・・。とりあえず、朝ご飯を作っておこうかな・・・」


シンジが起きてから10分が経った頃だった。
朝ご飯の準備がようやく終わって、今眠っている3人を起こすべきかどうしようか迷っていた。

「・・・ま、いいか。どうせ今日休みなんだし、ゆっくりしてても・・・」

結論は起こさないことにした。そして、シンジが椅子に座ったときだった。
ダイニングのドアがガチャッと言う音を立てて開いた。

「・・・綾波?」

そこには、まだパジャマ姿のままのレイがいた。
まだ少し眠そうな顔をしている。

「おはよう、碇君」

「あ、お、おはよう綾波。まだゆっくりしててもよかったのに・・・」

「ううん、碇君ばっかに迷惑かけられないし。
それに、昨日碇君に片付けやらせちゃったし。
たしか2時すぎだよね。碇君が部屋に戻って来たのって・・・」

シンジは目をぱちくりした。

「あ、綾波起きてたの?」

「うーん、起きてたって言うか、半分寝てたかな」

レイはそう言って、えへっと小さく笑った。

「そ、そうなんだ。あ、ご飯食べる?」

「うん、食べる」 シンジはパンを取り出してトーストに入れた。
レイはシンジの向かいの椅子に座ることにした。
シンジはコップにお茶を入れてレイに渡した。

「ありがと」

シンジは笑顔を返すと、あらかじめ作っておいた目玉焼きをレイに渡した。

「しょうゆとソースどっちがいい?」

「しょうゆ」

しょうゆを取り出してシンジは椅子に座った。
その時、トーストからがしゃんという音とともにパンが飛び出して来た。
シンジはそれを取って皿の上にのせるとマーガリンとともにレイに渡した。

「大変だったでしょ、片付け」

レイはしょうゆをかけた目玉焼きを一口口にほおばってたずねた。
対するシンジは自分の分のパンを焼くためトーストにパンを入れていた。

「うーん、大変だったと言えば大変だったかな。
でも、普段から後片付けは僕の役目だからなれてたし、そんなに大変だとは思わなかったなぁ・・・」

シンジの言葉にレイはクスッと笑った。

「な、なんだよ綾波。なにかおかしかった?」

「ふふ、べっつに〜♪」

レイはまだ少し笑っていた。

「?」

シンジはすねたようにトーストからパンを取り出すと、パンにかぶりついた。

「そう言えば、うちのお母さん達まだ寝てるの?」

「うん。まだぐっすり。
昨日二人ともここで寝ちゃうもんだから仕方なく僕がリビングのソファーまで引きずって行ったんだ」

「まったく、困った親だね。二人とも」

シンジとレイはそう言ってお互いに笑った。


その後二人は学校のこととかをいろいろ話していた。

結局ユイとレナが起きたのはそれから3時間たっていて、丁度シンジとレイが昼食を作っていたときだった。


Rei-Sinziです。
すみません、遅れてしまって・・・。
さて、苦労人のシンジ君、片付けご苦労様(笑)。ちょっと最初の予定とは話の内容が変わってしまいました。
実際ここはそれほど長くする予定じゃなかったのに・・・。まぁ、いいや。
もうちょっとレイとシンジ君の会話をいれるべきだっただろうか・・・。
今回シンジ君があまり話さなかったような感じですね。
ユイとレナ達が多かった。まぁ、しょうがないんだけどね・・・。シンジ君の過去をしる人物なのですから(笑)
さて、今の自分の気持ちが分からないレイは、結果的にユイとレナの頼みを断ってしまった。
レイに心の変化はあらわれるのでしょうか?
次回予告  『レイの気持ち』  お楽しみにです。

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新世紀エヴァンゲリオンはGAINAXの作品です