【老後補完計画】


「・・この娘は?」

シンジの目の前のベッドには、一人の少女が横たわっていた。

「彼女はネルフが主催して開催した、『第一回全国碇ユイ似の美少女コンテス
ト』。その優勝者、綾波レイよ」

白衣を着た金髪黒眉毛のリツコ女史が、淡々とした口調で語る。

「ええ!? 母さん似の? ・・そう言えばなんだかお母さんて感じがする・・」
「なっ、何を言うのよ・・(ぽっ)」

シンジの言葉に、レイは頬を染めた。

「・・これも父の仕事ですか?」

しばらくレイに見惚れていたシンジは、ふと思い出したように尋ねた。

すると――――――

「そうだ」

タイミングよく頭上から声がかかった。シンジがそちらの方向に目を向けると、
あんまり会いたくないと思っていた髭面中年が立っていた。

「うげっ、父さん・・」

心底嫌そうに顔を歪めるシンジ。

「久しぶりだな・・会いたかったよーシンちゃん! シンちゃんってば、ちっと
も会いに来てくれないんだもん。パパ、さみしかったぞー」

何やら無意味に身体をくねらすゲンドウ。その場に居たシンジ以外の全員が、
普段の姿とのあまりのギャップに、顔面神経痛を起こしていた。

『うう、やっぱり来るんじゃなかった・・息コンなとこはちっとも変わってな
い・・』

頭を抱えるシンジ。ゲンドウが嫌で、いままで親戚の叔父さんのところで悠々
自適に暮らしていたのだが、ゲンドウからの実に便箋20枚におよぶ『お願い
だからパパのところに来てね(はあと)』という内容の手紙をもらい、仕方無
しにやってきたのだ。

「・・で、一体なんの用なのさ、父さん?」

あまりゲンドウの方を見ないように尋ねるシンジ。その言葉に、ゲンドウは急
に真面目な顔になった。

「シンジ、おまえが乗るんだ」
「・・何に?」

わけわかんないよ、という気持ちを全身で表現しながら、ゲンドウの次の言葉
を待った。

「その娘にだ」
「ふーん、この娘に・・って、ええっ!?」

驚愕に目を見開くシンジ。

「父さん! 父さんが何を言ってるのかわからないよ!?」
「シンジ、逃げてはいかん」

「理由になってねえっつうの!」

シンジは切れた。

と、今まで沈黙を守っていたミサトが口を開く。

「司令、本当によろしいんですね?」
「ああ、シンジが乗らない限り、私に未来はない。私の老後の補完・・ユイに
よく似た孫をこの手に抱き、幸せな年金生活を・・」

ゲンドウは、うっとりとした表情でトリップしてしまった。

「なんじゃそらーー!」

突っ込みを入れるシンジ。

「あなたのお父さんが進めていた、『老後補完計画』よ」

ミサトが変わりに教えてくれた。

「・・父さん・・僕を呼んだのはこのためなの?」
「そうだ。もちろんシンちゃんの顔も見たかったんだけどね、てへっ」

頭に手を乗せて舌をぺろりと出す。そのあまりの不気味さに、ミサトとリツコ
は悶絶した。

「そんな・・今会ったばっかりで、話した事も見た事もないのに・・できるわ
けないよっ!」

まあシンジの言い分は当然だろう。すると、今まで黙ったままだったレイが、
おもむろに口を開いた。

「碇君・・私じゃ駄目?」

悲しげな瞳を向けてくる。

「ええっ? いやそういうんじゃないけど・・君は平気なの? こんなこと・・」
「絆だから・・」

「絆? 誰との?」
「・・碇君との・・(ぽっ)」

「ええっ? でも会ったばかりだよ、僕たち・・」
「これから結ぶの・・(ぽっ)」

そのままもじもじと俯いてしまうレイ。その仕種のあまりの可愛らしさに、シ
ンジは頭のネジが緩みはじめた。


    ◇  ◇  ◇


そのころ上では・・

「碇、まだ早いのではないか? 彼らはまだ14歳だ。老人達が黙っていないぞ」

白髪のじいさんがゲンドウに話し掛けていた。

「問題無い・・てゆうか早く孫の顔が見たい。おまえも早い方がいいだろう?」
「うむ、それもそうか」

老い先短いじいさんは、簡単に納得したようだ。


    ◇  ◇  ◇


で、シンジたちの方は・・

「碇君と一緒になりたい・・それが私の心・・」

そこまで言ってから顔を上げるレイ。

『うう、この子は可愛いけど・・でも・・いや・・しかし・・』

この年で子持ちシシャモになる決心がいまだつかないシンジ。迷っているシン
ジに対して、さらにレイが言葉をかける。

「駄目・・?」

上目使いでシンジの瞳を真っ直ぐ射抜く。こころなしか潤んだ瞳が、やたらと
色っぽく見えた。シンジの頭のネジは、その一撃で完全に飛んでしまった。

『逃げちゃ駄目だ逃げちゃ駄目だ逃げちゃ駄目だ逃げちゃ駄目だ逃げちゃ駄目
だ』
「うおおおおおおおおおおおおーーーーーーっ!!」

わけの分からない雄叫びを上げはじめる。

「まさか!」
「暴走!?」

事態を静観していたミサトとリツコが、何やら期待に胸を膨らませたような声
を出した。

かちゃかちゃ

「! 拘束具が!?」 シンジの腰部拘束具が外されていく。 「綾波―――!」 「ああ、碇君・・(はあと)」

ぎしぎし

◇ ◇ ◇ 「・・若いな」 「ああ・・」 その数分後・・ 「・・冬月先生、後を頼みます」 何やら前かがみで立ち上がるゲンドウ。彼の手には碇ユイのフリル付きパンテ ィ(15年もの)が握られていた。 「分かっている。ユイ君によろしくな」 そのまま司令室の隣にある『へぶんず・どあ』に向かうゲンドウの背に、ほん のちょっぴり羨ましそうな声をかける冬月先生。 『ユイ君にこだわりすぎだな、碇の奴』 当の昔に枯れてしまった冬月先生には、目の前の行為はあまり関係がなかった。 ◇ ◇ ◇ さらにその数時間後。シンジは疲れ果てていた。そんな彼に、ミサトがいきな り声をかけてきた。 「シンジ君、一つ言い忘れていた事があったわ。あなたは人に誉められる立派 なモノを持ってるのよ。もっと自信をもっていいわ・・(ぽっ)」 世界は今日も平和だった。
《劇終》


あとがき

わー!だから言ったじゃないかよう! 石を投げないで・・あうあう・・。
うう、これはやっぱりまずいでしょう?
お経と一緒に燃やしてくれてかまいませんから・・(マジで)
急ぎで書いたから文章荒いです。

もし載せる勇気があるなら、背景はピンクが良いな(はあと)。
拡大部分はそのまま表示されてますよね?
それならとくに言う事はないです。

・・いやほんとうに捨ててくれてかまいませんから・・。
僕の清純なイメージが完全に壊されてしまふ・・。
私の目指すはシリアス作家です。(もうだれも信じてくれないけど・・)

では・・

それでは、

もし、あなたがこの話を気に入ってくれて、
そして、もしかして、他の作品も読んで下さるとして、

また、どこかで、お会いしましょう。

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注:形式要素および、改行位置のみ、一部、ページ作者が手を加えました。
・・・・拡大部分?・・・うーん、うまく、拡大できん(汗)・・・・ごめん。


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