第参話
「歌はいいねぇ〜」
カヲルの決め(?)ゼリフ。
「歌は心を潤してくれる」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
・・・・・一方、シンジ達は朝食も終わり、待望の『デート』(キャッチボール)を始めた様だ。(って、カヲルの出番が・・・短い)
「じゃぁ。はじめはゆっくり行くよ!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・」
「?。どうしたの?」
「・・これ、どうやって使うの?」
グローブの使い方がわからないらしい。・・・って、シンジはさっき説明して無かったのか!?
「あ、あはは・・・(泣)」
こっちが泣きたいわ。<何でだよ?
「あ、ごめん。てっきり知ってるかと思ったから」
「・・・どうしてそう言うこと言うの?」
「・・・え?・・あ、ごめん。これはね、グローブって言うんだけど・・・」
シンジはグローブの説明を開始した。但し、レイは使い方を聞いているのにシンジはグローブの起源やら歴史やらを説明しだしていた。
「・・・だから、どうやって使うの?(怒)」
少しキレ気味のレイ。
「あ、そうだったね。えっと〜」
と、言ってシンジはレイの手にグローブをはめてあげた。さっきまでキレ気味だったレイだが、今は別の意味で顔を真っ赤にしている。
『碇君の手に触れてしまった・・・』
だ、そうです。
一方のシンジはのほほんとしている。
「じゃ、始めようか!」
「・・・・・・・・・・『碇君の手に触れてしまった・・・』」
「???」
まだ意識の戻らないレイ。シンジはそんなレイの状況を見て、ただクエスチョンマークを浮かべるだけだった。
「(爽やかな口調で)やぁ!何を二人で見つめ合っているんだい?」
突然登場のカヲル。
「あ、いや、ぼぼ僕は別に・・・・・(汗)」
『見つめ合う?そう、私は碇君と見つめ合っているのね。うれしい』
お決まりの反応をかますこの二人。でも、何かイイぞ(何が?)。
「(シミジミと)うんうん。春だねぇ」
ほぼ意味不明の発言をするカヲル。
「・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・」
放心状態のシンジと意識不明のレイ。
「春はいいねぇ。でも、僕は秋がいいな。ああ、愛しのマツタケよー」
完全に意味不明な発言をするカヲル。
『・・・はっ、まずい。このままでは何も出来ないまま一日が終わってしまう(汗)』
泥沼から一番早く抜け出したのは、シンジだった。
「あ、の。とにかくさ、キャッチボール始めようよ。カヲル君もせっかくだからどう?」
「(シミジミと)キャッチボールか、僕の無き先祖はキャッチボールより、フォアボールが好きだったなぁ」
さらに意味不明になるカヲルであった。
『・・・はっ。そうだわ。私は碇君とキャッチボールをするの。』
「・・・・碇君。はじめましょう。」
レイは意識を取り戻した。
「うん。でもカヲル君はどうするの?・・・・カヲル君?」
カヲルは何故か逆立ちをしていた。
「・・・カヲル君・・・一体何を・・・(ワナワナ)」
「え、いや。僕はフォアボールもいいけどファウルボールもいいと思ってさ(ニッコリ)」
『この人と友達に成ったのは間違いだった・・・』
作者も同感。
「・・・碇君!(怒)」
またまたキレそうなレイ。
「あ、ごめんごめん。投げるよ」
カヲルを無視する事に決めたシンジであった。
びゅーん・・・・・ポロッ
「・・・・あっ(泣)」
ボールを落として泣きそうになるレイ。こんな事で泣きそうに成る所も、非常にかわいい。
「あっ、大丈夫だよ綾波。最初なんだから。今度はそっちから投げてよ」
相変わらず優しいシンジ。レイもさっきより幾らか落ち着いた様で、力一杯ボールを投げてきた・・・・・が。
ドビューん・・・・・ポチャッ
レイが投げた球は、三時の方向に有った公園の池へ着水(沈んだろーが)した。しかし、幾ら初めてでも90度も投げる方向間違えるか、普通?
「・・・・・あっ・・・・・・・(泣)」
今度は本当に泣き出してしまった。それどころか、泣きながら逃げ帰ってしまった。
「あ、綾波ぃ!!!」
シンジがそう叫んだ頃には、レイの姿は既に無かった。
「どうしよう、僕のせいだ。僕のせいだ・・・うわぁぁぁ!!!綾波!!」
と、シンジは既に姿の無いレイを追いかけて全速力で走り出した。・・・それより、これはシンジのせいでは無いと思うぞ。ホントに。
「マツタケ君は僕にとって好意に値するよ♪」
カヲルは今だ暴走(妄想)中。
「どうしよう、綾波何処いったのかな」
すでに、42.195kmも走り回っていた。
「家に行っても誰もいないみたいだし・・・・ホントに何処行ったのかな・・・はぁ」
ホントに何処行ったんでしょう?(爆)
「でも綾波、コントロールはともかく、100m以上も投げるなんて凄すぎる・・」
公園の池は、綾波のいた所から128mの場所に有った。
「実は綾波って野球の才能あるかも」
そうか?遠投はともかく90度も送球をそらされたら、たまったもんじゃ無いぞ。
「・・・本当?碇君・・・」
「えっ?・・・綾波!?」
何と言う都合主義!綾波は調度その言葉を聞いていた。
「・・本当なの?・・碇君」
いや、作者は断じて違うと思う。
「う、うん!勿論だよ。女の子でしかも初めてで100m以上も投げるなんて驚異的だよ!」
確かに驚異的ではあるが・・・・・・・。
「・・・よかった・・・」
「・・じゃぁ、帰ろうか綾波!」
って、シンジは家違うだろ!
「・・・・ええ(ニッコリ)」
「ええ」じゃ無いだろ・・・って、レイの笑顔かわいいよぅ。
(・・・・・ん?良く考えれば家が違ってもさっきのセリフは不自然ではなかった・・・)
「晴れたる青空漂う雲よ♪」
渚カヲルが現れたようだ。って、こいつはまだ暴走してるのか?
「歌はイイねぇ♪」
レイとシンジは、カヲルのその先のセリフは聞かずに帰路についた。
『僕は要らない存在なのか〜?(涙)』
YES。と、言いたい所だが、後々のストーリーには一応必要だ。
(多分・・・・)
『一応って何だぁ!多分って何だぁ!!(号泣)』
カヲルよ。少し黙っていたまえ・・・・・。
『・・・・・・(沈黙)』
次の日、昨日の三人は特に問題もなく(カヲルを除く)、何故か三人一緒に学校へ登校していた。
「綾波、野球部は結構大変だけど、本当に大丈夫?」
「・・・ええ、問題無いわ」
「・・・・・・・『僕は要らない存在なのか〜?(涙)』」
「でも、昨日みたいにさ、あさっての方向へボール投げてたら駄目だよ」
「・・・・どうしてそう言うこと言うの?(怒)」
「あ、・・・いや・・(汗)」
「・・・・・・・『一応って何だぁ!多分って何だぁ!!(号泣)』」
「・・で、でも本当に気をつけた方がいいよ。結構あの先生のしごきはキツイから」
「・・だから、どうしてそう言うこと言うの?(怒々)」
『・・・・・・(沈黙)』
・・・・・、一体何なんでしょう?(汗)
とにかく、そうこう言っているうちに学校へ着いたようだ。
「おーい、おっはよー。碇ー♪」
シンジと同じクラスの吉岡ショウジだ。
「あ、おはよー。吉岡」
この二人、何故か仲が良い。
「とっころでさぁー。俺も今日から野球部員だからよろしくなー♪」
「え?・・・・」
野球部員がドンドン増える今日この頃。しかも、とーとつに。
「吉岡って野球やってたっけ?」
「何言ってるんだよ?俺達先週合ったばっかりだぜ?」
「・・・・・」
どうも、話がかみ合っていない。
ガラッ!!
そこへ、ケンスケ先生の登場である。
「起立!礼!着席!」
すぐさま号令がかかる。
「はい、みんな〜。今日は予告どうり学力テストを行うぜぇ〜」
入学早々テストである。まあ、スポーツ優待生として入学したシンジには、テストの点が悪くても特には問題ないのだが。
それにしても、なんとなく今日はケンスケ先生のノリがいい。
「カンニングなんかしたら、即刻退学だぞ!しっかりやれよ!」
と、言って手に持っているテスト用紙を配り始める。・・・しかし、カンニングで即刻退学は厳しすぎるぞ!?
なんて事でテストが始まった。シンジは根が真面目なので、一応一通り中学時代の内容を復習してきていた。しかし・・・・・・。
「「「「「「「なんじゃこりゃぁ!!?」」」」」」」
クラス中の人間が大声で叫んだ。
「ん?どうした?テスト中に大声出しちゃ駄目だぞ」
「・・・て、先生。何ですかこの問題は?」
テスト問題の内容は、正しく相田ケンスケの趣味によるもの(言わずと知れた軍事とカメラ)だった。
「・・・あー、いやー。ばれた?」
ばれるも何も無い。教室中の生徒が呆れかえっている。
ただ、レイとシンジは真面目な性格のため、ショウジは自分の趣味に合っていたため、カヲルはヤケクソになったため、真剣にテストを解いていたそうだ。
ちなみに、このテストの結果は、レイ100点・ショウジ80点・シンジ69点・カヲル12点・その他の生徒は全員0点となった。
レイは、持ち前の知識の多さで満点だった。ショウジは軍事問題全問正解+多少のカメラの知識で80点。シンジは軍事にはかなりの知識が有ったので、その点数。カヲルは?と、言うと、やけくそで書いた解答のまぐれ当たりの点数だ。他の生徒たちは解答を書かなかったので0点。
「いやー。さっきのテストはまいったねぇ」
テストの時間が終わり、休み時間に入った途端、ショウジはシンジに話し掛けた。
「うん、そうだね。結構難しかったよ」
問題の難易度ではなく、内容を気にして欲しい。
「そうだね。僕なんか殆ど当てずっぽうで書いたよ」
めずらしく、まともな事を喋るカヲル。
「ははは・・・。ところで綾波は出来たの?」
「・・・問題無いわ」
こちらはお決まりのセリフ。
「問題が無かったら問題は解けないよ♪」
カヲルが、また壊れ出した・・・。
『相手にしちゃ駄目だ。相手にしちゃ駄目だ。相手にしちゃ駄目だ。相手にしちゃ駄目だ。相手にしちゃ駄目だ・・・・・・・。』
と、これはシンジ。
「カヲル君。そう言うシャレ、嫌いじゃ無いよ」
と、これはショウジ。
「・・・どうして、そう言うこと言うの?(怒)」
怒った顔が今日もかわいいレイちゃんでありました。