第六話
「さあて、今日も元気に練習するか」
使徒であるにも関わらず、かなりまともなバルディエルである。
ぶん、ぶん、ぶーん・・・・・・・・・・どかっ!!!?
バルディエルが元気に素振りしている所へ、何処かの誰かさんが勢い良く打った打球がヒット!
「うぎゃー・・・・」
バルディエル、沈黙。
「だ、だいじょぶか!?」
『お、俺の出番って、一体・・・・・?』
ようするに、故障するための出番なんです。バルディエルさんごめんなさい。
「どうした、どうした!?」
人(使徒)が集まってくる。
「あー、バルディエルが怪我だよ」
「なに?本当かい!?」
血相を変えて心配した表情を露にするカヲル。
「彼にはまだ5000円貸しているんだ、帰ってこなくなったらどうするんだー!!」
結局それかい。
「か、カヲル君、それよりもっと大きな問題が有ると思うんだけど・・・・・」
シンジ登場。
「む。金はリリンの生み出した文化の極みだよ、お金より大きな問題なんてあるもんか」
前半のセリフは正しいような気がしないでもない。
「・・・私は、碇君さえ居れば何も問題ないわ・・・・・・」
今度はレイの登場。
「あ、綾波!?」
そういえば、レイは何時の間に戻ってきたのだろうか?(第伍話参照)
「おっ?また楽しそうな事やってるね♪」
ショウジ登場。
「ちっとも楽しくなーい!!!」
シンジの当然の叫び。
「4番のバルディエル君が故障したんだよー、もうすぐ初戦だって言うのに、一体どうするんだー!!!?」
シンジがやっと言いたい事を全部言った。
「なんだ、そう言う事か♪」
こんな時でも音符付きのセリフ。
「は〜、もーやだ」
「ま、そう気を落とすなよ碇。もう代わりの4番は来ているようだしね♪」
「え!?」
みれば、マシン打撃を猛然とこなす少年が一人。
どかーん、どかーん、どっくあーん!!!!
打撃の音が、「カキーン」ではなく、全て「ドカーン」という程の打撃力だ。
「何なんだ、一体!?」
「ふふふ、彼は加持リョウジ。僕が筋トレ部から引き抜いてきたんだ♪」
行動が素早いショウジ。?、筋トレ部って何?(爆)
「リョウジはね、パワーだけでなく、打撃センスも良くてね、十分即戦力になるよ♪」
「守備は?」
「心配無いよ、足も速いし強肩だし。外野ならなんとかなるよ♪」
こんな都合の良い人間が居るものなのか?
「やあ、碇シンジ君て君かい?」
マシン打撃が終わったリョウジが話し掛けてきた。
「え、ええ。どうして僕の名前を?」
「そりゃ知ってるさ。この世界じゃ君は有名だからね。もちろんレイも知ってるよ」
「何の訓練も無しに実戦でいきなり120Km/hのストレートを出した天才球児ってね」
「それっていつの話ですか?(汗)」
「偶然も実力のうちさ。才能なんだよ、君の」
「は、はあ?(汗)」
途中から話が噛み合わなくなっている。
「うー、加持ぃー。俺の噂はー?」
ショウジが問う。
「知らないね」
「そんなーぁ」
「嘘だ」
「ガクーッ!!」
?
「知ってるよ。魔球的なナックルをアンダースローで投げるピッチャーってね」
「ふうむ♪」
話が一段落ついた様だ。
「じゃあ、取り合えずリョウジ君の実力を見せてもらおうかい?」
おお!カヲルが物凄くまともな事を喋ったぞ!!!
『僕って一体?(泣)』
無視。
「そうだね、それじゃあ僕と一打席勝負をしてみようか?」
「いきなりシンジとで勝てるかね♪」
「ふふ、おもしろいね」
てな事で、試合開始。
『加持リョウジか、取り合えず様子見できわどくボールと行って見ますか』
カヲルもキャッチャーらしく色々と読んでいるらしい。
びゅううー・・・ばしっ!!
「ボール!!」
『うーん、これは見きっていたのか?だとすると、とても野球が初めてとは思えないな』
カヲルが、今日はカッコ良く見える。
『とにかく、今は彼の実力を見ないとな。色々なコースに色々な球を試して見ないと』
カヲルが、フォークのサインを出す。
『フォークか、初めての人にこの変化は付いて来れるかな?』
とは言いながら、手加減無しのシンジ。空振りのストライクとなった。
『じゃあ、次は外から高速スライダーでストライクゾーンを狙うか』
高速スライダーのサイン。
『カヲル君も容赦無いな、まあいいか』
シンジは渾身の高速スライダーを投げた。
ごおおおおおおお!!!!
次の瞬間!!!
かきいいいいいいん!!!
「え!!??」
打球はライトへ切れていった。
「ふぅ、一瞬ひやっとしたなあ」
カウントは2ストライク1ボール。
『うーん。流石に球威があるな、振るのが遅れてしまった』
ちなみにリョウジは右打。
『さてと、今度は低めのシュートでボール球と行くかな』
これはリョウジに見送られ、2ストライク2ボール。
『うーん、またか。やっぱり、まぐれじゃ無かった様だね。目がいいのかな?』
リョウジはボールを良く見極める目も持っている様だ。
『ナックルってのはどうかな?』
ナックルのサインがでた。
『ナックルか、ショウジ程切れは無いけど、行くか』
びゅうううううう!!!
「む!」
どかあああああん!!!!
「「!!!!!!!!!」」
飛距離は十分だったが、際どい所で左に切れた。
『な、なんてやつ、やっぱり凄すぎるぞ!?』
『と、とにかく落ち着かないと』
二人ともかなり焦っている。
『うーん、今のは惜しかったな。ナックルだと球威がかなり落ちるからな』
結構この人、野球知ってるんじゃ無いのか?
『ちょっと脅かして見ようか』
バントの構えをするリョウジ。
『何?バント?どういうつもりだろう?』
カヲルは悩む。カーブのサイン。
ごおおおおおおお!!!
『カーブか、甘い!!!』
かきいいいん
「「な、流し打ち!!!?」」
たたたたたた・・・ずざーーー
「セーフ!!」
三塁打。
「まけたよ」
シンジとカヲルがリョウジの元へ行く。
「二人とも、まだまだ甘いね」
リョウジはかなり上機嫌。
「さすが、僕が見込んだだけあるね♪」
ショウジも上機嫌。
「・・・・碇君・・・・・・・」
こちらはくやしそう。
「完敗だね、僕らもまだまだ改善の余地有りか」
うーん、カヲルがカッコイイな。
「そうだね」
シンジは普通。
「まあ、とにかく4番もきまったし、甲子園へむけて全力でいこう♪」
「よっしゃー!!」
その頃、バルディエル。
『もういい』
可愛そうな脇役。
スタメン表(改訂版)
一番打者:碇シンジ(ピッチャー)
二番打者:渚カヲル(キャッチャー)
三番打者:綾波レイ(ショート)
四番打者:加持リョウジ(センター)
五番打者:タブリス(レフト)
六番打者:ゼリエル(ライト)
七番打者:ペンペン(サード)
八番打者:シャムシエル(ファースト)
九番打者:サキエル(セカンド)
「・・・・・それにしても・・・」
「どうしたんだい?碇♪」
表を見ながらシンジが唸っている所を、ショウジが声をかけた。
「・・うーん、このペンペンってのがどうも気にかかって・・・・」
やっと気付いたか。
「はぁ、まぁ・・・・」
ショウジが曖昧な返事を返す。
「クェッ、クェー」
「「うっ、うわっっ!!!?」」
噂の人物(?)登場。
「どうしたの?二人とも♪」
良く見ると、マナがペンペンの手を引いている。
「マ、マナっ!そのペンギンは?!」
「ペンペンよ♪」
「「・・・・・・・・・(唖然)」」
「何よ?(怒)」
「クエッ!(怒)」
・・・・・・・・・・・。
『ミサトさんの仕業だな・・・・・』
シンジは何か心当たりが有る様子。
「もう!見た目はこれでもちゃんとペンペンは野球やってるんだからね!」
「そうだクェ!」
「「しゃ、喋った!!!?」」
まあ、野球が出来るんなら、言葉を喋ってもおかしく無い様な気がしないでもない。
「「・・・・・・・・・・」」
二名沈黙。
「変な二人!行きましょう、ペンペン♪」
「クエッ!」
去って行く二人(?)。
「なあ、碇」
「・・・・・・何?」
「ペンギンって、何?」
「同感」
しばしの混乱。
「本当に野球できるのだろうか?」
「アメリカで、野球のペンギンリーグが有るって噂は本当だったのか」
嘘です。
「グローブとかバットとか、どうやって使うんだろ?」
「ドラえもんみたいに、その時だけ指が生えてくるとか?」
ドラえもんって、野球やってたっけ?
「ペンギンじゃ、足が遅いんじゃないか?」
「温泉ペンギンは速いんじゃ無いの?」
どーゆー理論だ?
「・・・・・・・・で?」
「・・・結論として」
「「ペンギンは、野球をやってもいいんだね!!!!!!」」
・・・・・何処をどうしたらそーゆー結果に成るんだ?