最後の選択 by ユーキ
今、世界は危機にさらされていた。
第3使徒サキエルが復活したことが始まりであった。
復活したサキエルは以前とは違い、数倍パワーアップしていた。
現在頼りにされているエヴァ初号機でも歯が立たなかった。
人類はまさに今、滅亡の危機にさらされていた。
ここはNERV司令室・・・・。
そこには、1人の少年と1人の大人がいた。
それは碇シンジと碇ゲンドウだった。
「こうして2人で話すのも久しぶりだな・・・・」
「そうだね。父さん・・・・」
「シンジ。なぜここへ来ているかわかるか?」
「・・・・うん。だいたい・・・・わね」
そういうと少年の顔は暗く沈んだ。
「すまんな。シンジ。これしか方法がないんだ・・・・」
「いいよ。父さん。父さんは司令だもの・・・・」
「すまん。許してくれ・・・・シンジ・・・・」
そういうとゲンドウはそこへ泣き崩れた。
シンジはゲンドウの肩に手をおき、遠い目で天井を眺めていた。
次の日・・・・。
シンジはレイに話しかけていた。
シンジとレイは3ヶ月前くらいから、付き合っていた。
レイはとてもうれしかった。
今まで人と触れ合っていなかったから・・・・。
シンジもそのレイの幸せそうな顔をみて喜んでいた。
しかし今日は違った。
シンジと話しているレイはとてもうれしそうだったが、シンジはどこか暗い。
そして、シンジはレイを放課後、屋上に呼び出していた。
「何?碇くん、話って?」
「綾波・・・・別れてくれ」
「えっ!?」
「別れて欲しいんだ・・・・」
レイはとても驚いた顔をしている。
まさかそんなことを言われるとは思わなかったからだ。
レイには珍しく大きい声でシンジに言った。
「なんで!?碇くん!!私のこと嫌いになったの!?」
「・・・・ああ」
「・・・・ひどい・・・・!なんで!?迷惑なの!?」
「・・・・ああ」
レイは泣き出してしまった。
「碇くん・・・・さよなら・・・・」
そういうと、レイは走ってどこかへ行ってしまった。
レイが見えなくなってからシンジは言った。
「ごめん。綾波。でも、もう君には会えないから・・・・」
シンジはそういうと、屋上から出てNERVへ向かった。
NERV・・・・。
そこにはレイも来ていた。
レイはシンジの顔を見るなり、どこかへ行った。
その様子を見て、ミサトさんが声をかけてきた。
「シンジくん。なにかあったの?」
「いえ・・・・何も。じゃ、僕は着替えてきますんで・・・・」
「そう・・・・」
ミサトは疑問な顔をしていた。
しかしその本当の答えを知っているのは、シンジをゲンドウだけだった・・・・。
数分後、シンジがプラグスーツに着替え出てきた。
「シンジ。準備はいいな?」
「碇?」
「ああ。いつでもいいよ、父さん」
「・・・・初号機リフト・オフ・・・・」
その声を同時に初号機がサキエルの前に現れた。
シンジは攻撃をしないで待機している。
それを見ていたミサトがシンジに言った。
「シンジくん!なにをしているの!?早く攻撃して!!」
「いいんだ・・・・葛城三佐・・・・」
「しかし・・・・司令・・・・!」
「すみません、ミサトさん・・・・1つお願いがあるんです・・・・」
「何よ!?こんなときに!?」
「レイに好きだったって伝えて欲しいんです・・・・」
「えっ!?」
「シンジ・・・・時間だ・・・・」
「うん・・・・みんな・・・・さよなら・・・・」
シンジはゲンドウの声で動いた。
シンジは肩に積まれていたN2爆雷を持った。
「し・・・・司令!!」
ミサトは驚いた声を上げた。
「どうするんですか!?」
「初号機ごと自爆させる・・・・」
「えっ!?」
司令官室のみんなが動揺する。
そのなかでリツコがいった。
「司令!!それじゃ、シンジくんは!?」
「・・・・死ぬ・・・・」
「そ・・・・そんな・・・・。じゃ、最後のさよならっていうのは・・・・」
「司令!!こんなことさせていいと思ってるんですか!?」
「私だってこんなことはしたくなかった!!」
初めての切れたゲンドウの声にみんなが驚いていた。
「私だって・・・・シンジを死なせたくは無かった・・・・。しかしこれしか方法が無
いんだ・・・・」
「司令・・・・」
ミサトはそういうと1つのことを気づいた。
それはここにはレイがないということだった。
「リツコ!レイは!?レイはどこ!?」
「・・・・ああ・・・・あの子は更衣室よ・・・・。多分ね・・・・」
リツコは今にも死にそうな声でいった。
それを聞くと同時にミサトは更衣室に走り出した。
更衣室に案の定、レイはいた。
「レイ・・・・」
「・・・・・・・・」
「シンジくんを応援してあげないの・・・・?」
「・・・・はい・・・・」
「どうして・・・・!?」
「いいんです・・・・私、碇くんに嫌いだって言われたんです・・・・。だからもう・
・・・」
「・・・・そうなの・・・・。そういった理由・・・・あなたわかる?」
「・・・・いいえ・・・・」
「・・・・じゃ、教えてあげましょう・・・・。・・・・シンジくんは今、サキエルと
戦ってるの・・・・」
「!?」
「そして、シンジくんは死ぬつもり・・・・」
「!!?」
「だから、シンジくんは決めたんでしょうね・・・・。あなたを悲しませないために・
・・・。本当はシンジくんはあなたと別れるのが嫌だった・・・・。けど、自分が死ん
で悲しませるよりも別れて悲しませた方がいいだろうって・・・・。だってシンジくん
言ってたもの・・・・あなたが好きだって・・・・」
「!!?・・・・碇くん・・・・!」
「さあ、レイ、行きましょう・・・・。司令官室へ・・・・」
「・・・・はい・・・・」
ミサトとレイは泣いていた。
涙を拭きながら2人は走った。
シンジを見守るために・・・・。死なないように願うために・・・・。
レイとミサトが司令官室についたとき、シンジのちょうど自爆するときだった。
ドッゴ−ン!!!!
初号機とサキエルが見えなくなる。
長い沈黙の後、シゲルが言った。
「目標、沈黙・・・・。ともにエヴァ初号機、パイロット沈黙・・・・パイロットの生
死は確認できません・・・・」
「碇・・・・」
「うう・・・・シンジ・・・・」
ゲンドウは泣いていた。
ゲンドウの涙はみんな初めて見るものであろう。
しかし、みんなも泣いていた。
あの、勇敢な少年シンジのために・・・・。
レイは泣きながら、心の中で思っていた。
碇くん・・・・私はあなたしか愛せない・・・・。
戻ってきてよ・・・・碇くん・・・・。