「ガラスの仮面」二次創作
おまけ:マーくん


「それにしても、そろそろ『速水さん』はやめないか?」

俺たちが結婚して、しばらくの頃だった。

「いつまでも、『速水さん」では、他人行儀だろう。というか、君も『速水さん』になったんだから。」
「そうね。それじゃあ、なんて呼べばいいのかしら?」

「普通に名前で呼んでくれれば、嬉しいんだが」
「それじゃあ・・・・真澄・・・さま?」

「ぶっ!」
「そ、そんなに笑うことないじゃない!いきなり吹き出すなんて!」

照れるマヤの言葉に、俺は、笑いが止まらなくなり、身体を折った。

「アハハハハハ」
「だって、だって、呼び捨ても変だし・・・水城さんだって、聖さんだって・・・・あの、
 あの人だって、そう呼んでたじゃないですか?」

「そうか、それで、『真澄様』か。俺はそれでも構わんが・・・ククク」
「もう!」

マヤは、頬を膨らませてそう叫んだあと、赤く染めた頬のまま悪戯っぽく微笑みを浮かべ、はっきりとした声で宣言した。

「それじゃあ、私は速水さんのこと、『マーくん』って呼ぶ。もう決めた」
「!!! マーくん?! それはちょっと・・・」

「ダメです。もう決めました。あなたは『マーくん』です。違いますか?」
「確かに、そう呼ばれたことはないことはないが・・・君がそう呼びたいなら、別に構わんが・・・」

この娘は、いつでも、俺の核心をついてくる。
俺は、マヤの前では、幼い頃の、『マーくん』とよばれた頃の自分に戻りたいのだと気づかされる。

「その・・・人前でも、そう呼ぶつもりか?」
「ふふっ、人前でも、マーくんって呼ばれたいですか?」

俺は、思わず、笑みを漏らしながら、マヤになら、そう呼んでもらってもいいかなという考えが浮かんだが、
さすがに、そういう訳には・・・と、グッと言葉をこらえ、目を見開いて、マヤを見つめる。

「大丈夫ですよ。私だって、場をわきまえるぐらいのことはできますから。ちゃんと使い分けます」
「ああ、そう願うよ。・・・しかし、君は不器用だからな、心配だ。本当に使い分けられるのか?」

「ふふふふ、まかせておいてください。ちゃんと、使い分けてみせますから。適切に、ねっ!」

悪戯っぽく微笑むマヤ。そんなマヤをみて、俺は何もいえなかった。


 ◆ ◆ ◆


確かにマヤは使い分けた。普段の『マーくん』、会社での『速水社長』、
そして妻としての立場のときの『あなた』あるいは対外的に『速水』などを、絶妙に使い分けた。

ただし、会社の中でも、マヤとふたりきりになれる社長室は例外的に『マーくん』が通用する空間となり、
秘書の水城の俺に対する呼称リストの中にも、当然のように『マーくん』が追加されたのだった。

今度こそ、おしまい

あとがき えと、筆者です。おまけです。 いや、4話目で止めようと思ってたんですけど、 マヤが速水さんのこと、マーくんって呼んでるじゃないですか、何の説明もなしに(笑) やっぱ、説明しておかないといけないかな、と思って(^^; それだけです。 とゆわけで、次は、レイが好き! (アスカ様!だったりして?) それでは もし、あなたがこの話を気に入ってくれて、 そして、もしかして、他の作品も読んで下さるとして、 また、次回、お会いしましょう。 2015年6月 某所にて

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