レイが好き!
200,000HIT記念企画特別増刊号
雨でも風でも全然オッケー! (^o^)V
「にじゅうまん、か・・・いろいろあったよな・・・」
窓の桟に頬杖ついて、街を眺める。いつもの通学路の両脇に並ぶ街路樹から秋
色に染まった落ち葉がひらひらと、また一枚舞い落ちる。
レイは、そんな僕の肩に両手を置き、ちょこんと顎を乗せる。
「うふふっ、なにか言ったの?シンジ」
「え?い、いや、べつに・・・なんでもないよ。レイ」
僕は、そう答えて、レイの方に振りかえる。レイのキラキラと輝く瞳が僕をじ
ぃっと見つめる。
「そう?」
「そうさ、きっと、空耳だよ。うん」
「そうかしら?」
「そうだよ。そもそも、このページのカウンタがどうなろうと作中キャラの僕
の知ったことじゃないじゃない?・・・な、なに言ってんだよ、レイこそ・・
・」(ちょっと汗)
「・・・変なシンジ」(ジロリ)
「うっ・・・」(だいぶん大汗)
「・・・・・・」
「・・・・・・」
しばしの沈黙。
「・・・・・・」
「・・・・・・」
見つめ合うふたり。
「・・・・・・」
「・・・・・・あっ」
触れあう手と手。
「・・・・・・」
「・・・・・・」
再びしばしの沈黙
「・・・・・・」
「・・・・・・」
再び見つめ合うふたり。
「・・・・・・」
「・・・・・・あンっ」
「レイ・・・・」
「・・・・・・シンジったら・・・」
◇ ◇ ◇
ここのところ、僕たちは、いろいろと忙しかった。変な夢を見てしまって、お
互いぎこちなかったり、謎を秘めた転校生が現れて、いろいろと事件が起こり
そうだったり、アスカはアスカでいろいろと仕事上のストレスを溜め込んでる
ようだったり、僕とレイが入れ替わったりしてしまったり・・・そう、だから、
本当なら、こんなの書いてる場合ではなかったり・・・いや、そうじゃなくって(汗)
・・・・・・・・と、とにかく!この1年ほど、僕たちは、ろくにデートも出
来ていなかったのだっ!
・・・って、僕は、なにをムキになっているのだろう?(やや苦笑い)
それで・・・その・・・とにかく、そういった鬱憤を晴らすべく、最近では、
休みごとに僕たちは、羽目をはずして、遊びまわっているということです。
今日は、1週間ぶりの日曜日。
朝食を終えた安らぎのひととき、僕はレイをしみじみと見つめる。
あらためて思う。
レイは綺麗。
色素が欠落したように真っ白なその肌は、むこうが透けて見えるほどに艶やか
だし、その中にふたつ並んだ真っ赤な瞳は、キラキラと生気を振りまくように
輝いているし、それらを覆ってサラサラと頬を撫でつけるように揺れる蒼い髪
も素敵だ。なにより、今にも折れてしまいそうな華奢な身体に、いい知れない
色気がある。その、なにげないしぐさひとつひとつが、可愛らしくて、愛らし
い。
僕は、ここに美の集大成を見る。
おそるべし!まさに、スキなし!レイ。
そんなレイが、僕を好きだと言う。それは、本当に不思議なことだと僕は思う。
でも、そんなのは好きずきだし、僕が卑屈になる必要はないんだ。
僕は、にこっとレイに微笑みかけて、そして、いつものようにレイに訊ねる。
「今日は、どこいこっか?レイ」
「うーん、そうねぇ・・・シンジはどこ行きたい?」
「そうだね・・・そうだ。こないだオープンしたっていう遊園地へいってみな
い?」
僕がそう答えると、レイは、にっこりと笑って、そして、僕の腕に飛びつく。
僕の腕を抱きしめながら、顔をあげ、満面の笑みで答える。
「うん、シンジの行くところなら、どこでもついてく!」
「あはは、朝から、ハイテンションだね、今日も」
僕は、自由な方の手で、レイのおでこをつっつきながら、応える。
「うふふっ」
「それじゃ、行こっか?準備、いいの?帽子は?」
「あ、そっか。ちょっと待っててね、シンジ」
レイは思い出したように、そう言うと、僕の腕を放し、慌てて、自分の部屋へ
外出の準備をしに行く。途中、振り返って、リビングの入り口から顔だけを出
し、にこっと笑う。
「置いて行っちゃダメだからね、シンジ」
「あはは、僕ひとりで行ったらデートじゃなくなっちゃうよ、レイ」
「うふふっ、じゃ、ね」
◇ ◇ ◇
今年も残すところあと2ヶ月とちょっと、暦の上では、もう秋だというのに、
まだまだ、夏の面影を残す陽射しが、僕たちを照らす。僕の隣では、つばの大
きな帽子をかぶったレイが、ウキウキと弾むように、チラチラと僕を見ながら
歩いてる。僕も、もちろん、レイの方を気にしながら、駅までの道のりを歩く。
「ねえ、シンジ」
僕よりほんのすこし先を歩いてたレイの弾むような足取りがピタっと止まって、
右手で帽子の頭を押さえながら、くるりとレイが振り返る。すこし長めのスカ
ートの裾がふわりと膨らんで、再び落ちる。
「なに?」
僕がにこりと微笑んで応えると、レイは、僕の隣まで小走りでやってきて、
僕の腕に飛びつくように、しがみつく。
「わたし、やっぱり、この方がいいなっ」
「えっ?・・・」
「うふふっ、暑い?シンジ」
やはり帽子を押さえながら、レイが僕を覗き込むように見上げて、にこっと笑
う。僕は、クスッと笑みを浮かべて、それに応える。
「ちょっとね。でも、もう秋だから、いいんじゃないかな」
「うふふふっ、でも、顔真っ赤よ、シンジ」
そうだろう。だって、改めて冷静に見ると、こうしてると、レイの顔が、僕の
顔のすぐそばにくるんだし・・・それに・・・僕の肘が当たってるのって・・・
「やっぱり、暑いから、やーめたっ」
僕は、照れ隠しにそういって、レイに捕まれている腕を振る。レイは、僕の腕
から振り払われまいと、必死になって、僕の腕にしがみつく。
「あ、あっ、駄目。嘘よ、嘘。シンジの顔赤くなんかないから!」
「あはは、レイが僕をいじめるからだよ」
「も、もう!シンジこそ、意地悪ぅ〜」
ぷぅっと膨れながら、そういうレイを残して、僕はスタスタと前を歩く。
ふふふっ、可愛いんだよねぇ・・そういうところが。僕は、チラリと横目で
後ろをうかがう。
「ベェ〜だ。もう2度と、腕なんか組んであげないんだからっ!」
まったく、レイって、なんて・・・・
「あ、あ、ちょっと、シンジぃ〜、待ってよぉ〜」
レイって、なんて・・・
「もうっ!」
レイは、立ち止まらない僕を慌てて追いかけて、そして、僕の腕に飛びつくように
しがみついた。僕が、横目でちらっとレイの様子をうかがうと、レイは、頬を
膨らまして、ぷいっとソッポを向く。
ほんと、レイって、なんて・・・可愛いんだろう!
「可愛いね、ホント、レイって」
「・・・・」
「ふふふ、レイ?」
「・・・・」
「レイこそ、顔真っ赤だよ」
◇ ◇ ◇
僕は、吊革にぶら下がりながら、目の前にちょこんと座っている僕には不釣り
合いなその美少女を見下ろす。スカートの中できちんと揃えられたひざの上に
は、真っ白な帽子が置かれて、その帽子を小さな少女の両手がそっと押さえる。
そして、僕の視線に応えるように、にこっと微笑む。
やっぱり思うことがある、改めて。
このヒトが、僕の彼女?
僕が、このヒトの彼氏?
そんな思考を遮ったのは、レイの声だった。
「どうぞ」
「ああ、すまんね、お嬢ちゃん」
「いいえ、どういたしまして、おじいさん」
「それじゃあ、お言葉に甘えて・・・よっこらしょっと」
それまでレイの座っていたところに座る老人に、ニコッと微笑みかけてから、
レイは、僕の横へやってきて、キュッと僕のシャツを握る。
「うふふっ、来ちゃった」
「・・・・」
もちろん、老人に席を譲るってのは、当たり前のことだし、僕だって、当然の
ようにやっている。でも、レイの真の目的は・・・・なんていう風に、自然に
出来るのが、良さなのかもしれないけどね。
「もうっ、なに、クスクス笑ってるの?シンジ」
「べ、べつに、なんでもない」
「もう!呆れてるんでしょっ、わたしのこと」
「そんなことないさ・・・クククク」
「もうっ!知らないっ」
停車駅に近づき、電車がブレーキをかける。ガタンと大きな音とともに、車両
に制動がかかる。普段乗っている通学電車と違って、休日の電車の中は、結構
ガラガラで、油断してると倒れるスペースはいくらでもある。いつもの調子で、
僕にだけ捕まっていたレイは、制動の勢いで、僕から離れるように倒れ掛かっ
た。思わず僕は、レイを抱きしめる。
「きゃっ」
右手に吊革、左腕でレイを抱き抱える。
「だ、大丈夫?レイ」
「・・・うん、大丈夫・・・ありがとう、シンジ」
集まった車内の視線を感じながら、僕はレイを放す。
「ちゃんと吊革掴まってなきゃ駄目じゃない、レイ」
「うふふふ」
まったく反省のかけらもないように、レイは笑みを浮かべる。しょうがないな
ぁ、もう・・・僕は、レイの手をとって、開きかけた電車の扉へ進む。
「うふふっ、ごめんなさい、シンジっ」
◇ ◇ ◇
「さーて、それじゃあ、まずは何かな?レイ」
「そうね・・・じゃあ、ジェットコースター!」
「あれ、高いこと走るんだよ?大丈夫?」
「分かってる。でも、あっという間だから、案外大丈夫だよって、ヒカリがゆ
ってたから。それに、遊園地の定番なんでしょ?」
「まあ、そうだろうけど・・・」
「大丈夫よ、大丈夫!」
まあ、そういうなら・・・と、僕たちは、ジェットコースター乗り場に並ぶ。
意外にも、レイは割と高いところに弱い。マンションのベランダとかでも、結
構恐いようで、滅多なことでは近づかない。どうも、高いところから、下を見
下ろすと、自分が落っこちていくシーンが目に浮かぶんだそうだ。まあ、人間、
ひとつぐらい弱点があるのも可愛いげってものだと思う。
それなりに長めの列の中で僕たちは、相変わらず他愛もないお喋りをしながら、
順番を待つ。30分ほどたったところで、いつのまにか僕たちは、列の先頭に来
ていた。
「先頭に乗れるなんて、ラッキーだね」
「うん」
身体を固定するバーが降りて、いよいよ出発準備完了。
「緊張してる?もしかして」
「うん」
あんまり自由の聞かない腕をなんとかゴソゴソと動かして、左手をレイの方に
差し出す。こわばった顔のレイも、なんとか右手を僕の左手に乗せる。
カタカタとコースターが動き出す。僕たちを乗せたコースターは、ゆっくりと
軌道の最高点へむかって、登り始める。レイは、しっかりと目を閉じてるよう
だ。
カッタン、カッタン、カッタン
ギュッと僕の左手を握るレイの手に力が入る。
「キャァーーーーーーー」
喚声と悲鳴を残して、一気に駆け下り、ループを通過する。
ぷしゅぅぅぅぅ〜
「レイ、終わったよ」
右手で僕が肩を揺すると、レイは恐る恐る目を開ける。
「手、放してくれないと降りれないんだけど・・・」
◇ ◇ ◇
「あ〜、楽しかった。また、乗りたいね、シンジ」
固まったレイをなんとかコースターから降ろして、ベンチに座らせて、売店で
買ってきたソフトクリームを手渡すと、レイは、にっこりと笑っていった。
「・・・・あの・・・楽しいと固まるんだ?レイは」
「でもでもでもでも!楽しかったもん!あの、風を切って、落ちていく感覚っ
て、ホント、感動したっ!」
「ふふふっ、そっか」
「うん・・・それに、シンジの手、握ってたから・・」
レイは、チョロッと舌先でソフトをなめながら、小さく呟く。
「そっか・・・」
「うん、安心できたから・・」
僕は、レイの隣に座って、火照ってきた顔を冷まそうと、ソフトをなめる。不
意に、トンと肩に軽い衝撃。サラサラしたレイの髪が僕の頬をくすぐる。
「・・・ありがと、シンジ」
僕は、慌てて、立ち上がった。慌てついでに、ソフトクリームを落としかけた
が、それは、なんとか持ちこたえて、間抜けな顔で、レイを見つめる。
「あ、あの・・・つぎ、何乗ろっか?」
「うふふっ」
◇ ◇ ◇
「ねぇ、シンジ。次は、シンジの乗りたいのにしよう?」
「え?」
「わたしにばっかり決めさせて、ずるいもん。だから、次はシンジの!」
「えと・・・一応、乗りたいのはあるんだけど・・・」
「なに?」
「でも、やっぱり、いいや。止めとこ」
「どうして?」
「だって・・・」
「だって?」
「やっぱり、照れるし」
「照れるし?」
「レイは、高いの苦手でしょ?」
「うふふっ、観覧車?」
レイは、ニコッと笑って、そう訊ねる。図星!なんだけど・・・なんで?
「だって、恋人同士の定番なんでしょ?」
そうなんだけど。やっぱり、遊園地のシメは・・・その・・・恋人同士・・・
としては・・・
「じゃ、乗ろっ!シンジ」
「で、でもっ」
「大丈夫よ、大丈夫っ!」
そういって、レイは、僕の手を引いて、観覧車の列に向かって歩き出す。列に
並んで、僕の手をしっかり握って放さないレイに僕は話し掛ける。
「や、やっぱり、止めようよ、レイ。無理してるんじゃない?」
「大丈夫よ、大丈夫っ。ほら、もうすぐよ、シンジ」
ふぅ、こうと決めたら、やっぱりレイは強情で、これはもう、何を言っても乗
るんだろうな・・・
「ふぅ、分かったよ。じゃあ、僕は、また、手を握ってればいいんだね?」
「うふふっ」
そろそろ陽が暮れる。これに乗ったら、そろそろ帰らなくちゃ。そして、今週
の休日が終わる。明日から、また学校。次のデートは、また、一週間後か・・・
夕陽はヒトを寂しい気分にさせるのかもしれない。ちょっと、しんみりとしな
がら、僕は、レイの手を引いて、観覧車に乗り込んだ。ゆっくり、ゆっくりと、
観覧車は回る。窓の外の視界が徐々に徐々に広がって、僕たちの住む街が現れ
る。
僕は、隣に座るレイを見る。
「レイ、恐い?」
「・・・うん、少し」
「大丈夫、僕の瞳だけ、見てればいいから」
「うん・・・ありがとう、シンジ」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
しばしの沈黙。
「・・・・・・」
「・・・・・・」
見つめ合うふたり。
「・・・・・・」
「・・・・・・あっ」
握った手と手。
「・・・・・・」
「・・・・・・」
再びしばしの沈黙
「・・・・・・」
「・・・・・・」
再び見つめ合うふたり。
「・・・・・・」
「・・・・・・あンっ」
「レイ・・・・」
「・・・・・・シンジったら・・・」
ひとまず、おしまい
あとがき
どもども、記念作品です。
え?内容?
内容はないです。
「大丈夫、僕の瞳だけ、見てればいいから」のフレーズだけのために書き始めました。
と、思った割には、最終的には言わせ方がかなり強引ですね(笑)
ちなみに、そのためだけの高所恐怖症です。
ですから、おそらく、正編の方では高所恐怖症ではないでしょう(???)
いやぁ、しかし、200,000HITですよ。
いろいろありました。
いろいろありましたが、200,000HITしてくれた皆様には無関係のことが多いですが、
とにかく、筆者自身、いろいろあったと思ってます。
キリ番ごとに、しみじみ思い返してるわけにもいかないとは思いますが、
今後とも、いろんな思い出が出来ていくのに合わせて、カウンタも回るということですね。
このページって、大体、1日に200〜500HITぐらい回るんですね。
ありがたいことです。
でも、感想ってのは、月に1通程度なんですね。
頂けるということだけでも、ありがたいんですけど、
でも、月に1通程度なんですよね・・・・(しつこい)
いや、分かるんです。感想書き辛いですよね、レイが好き!って。
しかも、最近、更新遅いしさ。(ぐちぐちぐちぐちぐち)
・・・・ハッ
いかん、なんか、後書きじゃないゾ、これは!(汗)
というわけで、来週はなんとか頑張って、41話書きます。よろしく
それでは
もし、あなたがこの話を気に入ってくれて、
そして、もしかして、他の作品も読んで下さるとして、
また、どこかで、お会いしましょう。
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