アタシはアスカよ!
番外編
「すべてをあなたに」
「いつかは、と思ってたけど、ホント、良かったじゃない。おめでとう」
「う、うっさいわね。仕方なく!・・・なんだからね」
「はあ、相変わらずってところだけど・・・仕方なくって? なんかあったの?」
「そうなのよ。あのバカ、たしかにモノスゴイ変人だとは思ってたんだけど、あそこまでとは、ホントに・・・」
「なになに? 聞かせてよ」
◇ ◇ ◇
「もう、しつこいわね。アタシは、アンタなんか、大っ嫌いだって、ずっと前から言ってるでしょ? まだ分かんないの?」
「そうなのかい?」
「そうよ! それに、アタシは、ひとりで生きてくって、いってるでしょ?」
「・・・わかったよ。そうだね・・・ずっと、僕の片思いだったね」
「本当に・・・ひとりで大丈夫なんだね?」
「そうよ。ずっと、そういってるでしょ?」
「そうだね。わかったよ。いままで、ごめんよ」
「分かればいいのよ、分かれば」
「最後に、本当にこれで最後にするから、贈り物をさせてほしいんだけど、いいかな?」
「そうね、残らないものならいいわ。あとに残らないものならね」
◇ ◇ ◇
「なにそれ? 大丈夫だったの? いかにも破局って感じの会話だけど」
「そう? いつも通りよ。どーせ、アタシが何をいっても、アイツは、つきまとってくんのよ」
「ふふっ、相変わらず、変なカップルやってるわね、あなたたち」
「アタシはフツーなのよ。アイツが変なだけで」
「まあ、そういうことにしてあげるわ。で、贈り物って、なにもらったの?」
「それがさあ・・・」
◇ ◇ ◇
「な、なに、これ?」
朝、カーテンをひき、窓から見下ろした光景に、アタシは目を疑った。
赤、赤、赤・・・一面の赤。 窓から見える広場が、真っ赤なバラの海に・・・
広場の傍らに佇んでこっちを見上げていた男は、アタシと目が合うと、くるりと背をむけて歩き出した。
「ちょ、ちょっと、待ちなさいよ。すぐに降りてくから!」
「アンタ、バカぁ? 何考えてんの?」
「何という程のことはないさ。ただ、アスカはバラの花が好きだったし、アスカには真っ赤なバラが似合うかなと思ってね」
「だからって、こんなに・・・一体、どうしたの?」
「最後に贈り物を、って」
「そうじゃなくて、これ、どこから取ってきたの?」
「普通に花屋さんで買ってきたんだけど、おかしいかな?」
「・・・・何本あるの?」
「そうだね、正確な本数は分からないけど、たぶん1万本ぐらいかな?」
「花屋、何件分?」
「それも正確には分からないよ。とにかく、お金がなくなるまで、街中の花屋を回ったからね」
「お金がなくなるまでって、アンタ! 全財産、これに使ったっていうの?」
「そうだよ。僕には、もう必要ないからね」
「・・・なんで?」
「僕が存在する理由は、もうないからね」
「アンタ・・・死ぬ気?」
「死ねたらいいんだけどね。残念ながら、僕は死ねない存在なんだ。だから、旅立つよ」
「旅立つ? どこに? そ、その、部屋はどうするの?」
「解約したら、少しだけど、敷金が戻ってきたよ」
「・・・ホントに、全財産、使ったってこと?」
男は、ニコリと微笑んだ後、コクリとうなづく。
「なんで?」
「アスカが好きだから」
◇ ◇ ◇
「信じてくれる? 嘘だと思うでしょ?」
「う、うん・・・でも、本当のことなのよね?」
「そうなのよ・・・残念ながら、全部、ホントの話」
「渚君って、やっぱり、凄いわね。これだけされちゃったら、さすがのアスカも・・」
「そんなんじゃないわよ。ただ・・・」
「ただ?」
「しょうがなかったのよ。アイツ、お金もなくなったし、住むとこもなくなったし・・・朝ご飯も食べてないみたいだったし・・・」
「ふふふふ、おめでとう、アスカ」
つづく
あとがき
えと、筆者です。
いや、その・・・とにかく、凄い愛なんです。これ、書きたかったんです。
でも、その、どうかいていいかって・・・結構、難しい。
なので、状況の描写はやめて、とりあえず台詞だけ(笑) いいんです、この際、文章の完成度は。
・・・こういうの許せない!って人はいるかもしれませんけど・・・ここはオレのページや!
と開き直っても、今更、誰も見てないし、誰からも文句はでまい。そうじゃないなら、感想・苦情メールをよこしたまへ(笑)
とにかく、
「信じてくれますか? 嘘だと思うでしょ?」
というのが書きたかったのです。とりあえず、それだけなんだけど・・・
嘘みたいだけど、もしも、もしも、こういうのできたら、凄いよね! とても、俺にはできない。
でも、僕は、これ、やってみたい。
思い返すと、あの時なら、やれたかも、って思う気もする。そう思う。たぶん、やれた。と思う。
でも、きっと、おそらく、後悔したような気もする。絶対、その後、困るもの。
ここまでやって、ちゃんと相手に伝われば、絶対に、相手は落ちる。そう信じる。
でも、その後に困る。それは間違いない。
でも、たぶん、カヲル君は困らないんだよね。アスカは優しいし、経済力ありそうだし(笑)
というわけで、アスカがカヲル君と結婚(同棲?)するとしたら、こんな感じかもしれない、と思ったのです。
だって、うちのアスカさんって、普通にプロポーズしても、絶対、うんって言いそうにないんだもん。
まあ、そいうことで。それでは、
もし、あなたがこの話を気に入ってくれて、
そして、もしかして、他の作品も読んで下さるとして、
また、どこかで、お会いしましょう。
2015年10月2日 某所にて
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