未来少女レイ
第弐話
平和


「シンジ、なにをしてるの?こんなところで」

シンジが、この島にきてから、何日か、たった。シンジは、しばらくの間、ず
っと、寝ていたけど、昨日から、ようやく、起き上がって、歩きはじめるよう
になった。いろいろ、わたしの手伝いもしてくれるから、わたしは、とっても、
嬉しかった。別に、手伝いなんかしてくれなくても、なんだか、シンジがとな
りにいて、わたしを見てくれるのが、わたしには、よく分からないけど、なぜ
だか、とっても、嬉しかった。だって、楽しいんですもの。シンジと一緒に、
いるのは、楽しい。なぜか、なんて、考える必要もないわ。シンジは、とって
も、優しそうな目で、わたしを見てくれる。楽しそうに、微笑みかけてくれる。
きっと、それが、わたしは、嬉しいんだと思う。シンジがたのしそうだから。

「うん・・・・海を見ていたんだ」

でも、時々、シンジは、悲しそうな目をして、ぼーっと考え込むことがある。
今も、そう。何を考えてるのかなんて、私には、わからない。わかりたくもな
いわ。だって、きっと、悲しいことなんですもの。でも、シンジの悲しみを、
わかりたいとも、思う。この気持ち、良く分からないけど、でも、そう思うか
ら。

「なぜ、海をみているの?」
「海の向うの、僕のいた街を見ていたのかもしれない」

「シンジは・・・帰りたいの?・・・やっぱり」
「・・・・本当は、そうかもしれない」

「そう・・・・」
「でも、やっぱり、帰りたくないとも、思ってる」

「ホント!」
「う、うん。それに、ここには、レイさんもいるから」

シンジは、いままで、ずっと、海の方を眺めていたのに、ゆっくり、となりに
座った、わたしの方に、向き直って、そして、優しく微笑んでくれた。わたし
は、心の底から、あったかい気持ちになって、答える。

「わたし、嬉しい!ありがとう。シンジ」
「う、うん」

「ずっと、ずーっと、いてくれるのよね。わたしと一緒に」
「そうだね。そうできたら、いいと思う」

「うん、いいと思うことなら、そうした方がいいのよ。だって、その方が、楽
しいに、決まってるんだから」
「あっはははは、そうだね。そんなのあたりまえだよね。さすがレイさんだね」

「そうよ?なにが、おかしいの?」
「ふふふふ、レイさんは、レイさんだからね。それに、きっと、そうだよね」

「なにが?」
「ううん。僕は、一度、逃げてきたけど、もう、逃げちゃいけないって、思う
から」

「シンジがいってること、さっぱり分からないわ。シンジは、逃げて来たの?」

シンジは、なにか、考え込むように、黙ってしまって、わたしの質問に答えて
くれない。でも、すぐに、顔をあげて、わたしに包み込むような優しい微笑み
をむけてくれる。

「もう、逃げないんだ。レイさんの前で、誓うよ。僕は、逃げない」
「そうなの?じゃ、逃げたら、叱ってあげるわ。それで、いいのよね?」

「はははは、うん。お願いします。レイさん」
「うん、わかった。じゃ、約束ね」

わたしには、なんのことだか、さっぱり、わかならないけど、いいの。だって、
シンジは、ここに、ずっと、いてくれるんですもの。きっと、逃げないって、
この島から、出ていかないって、ことなのよ。うん、きっと、そうだわ。だか
ら、嬉しい。わたしは、自然に、シンジの肩によりかかって、シンジに話かけ
る。シンジは、ちょっと、顔を赤くして、それに答えてくれる。

「シンジ?」
「は、はい」

「なんで、シンジは、わたしのこと、『レイさん』って、呼ぶの? わたしは、
『レイ』よ」
「は、はい・・・その・・・なんとなく」

「うふふっ、へんなの。わたしは、『レイさん』じゃないのに」
「でも・・・そんな、呼べないですよ。その・・・『レイ』なんて」

「あら?でも、今は、いえたわ?」
「そ、そうだけど・・・・」

「うふふっ、でも、いいわ。シンジは、わたしのことを『レイさん』って、呼
ぶの。わたしは、好き。それが、シンジの呼び方だから」
「う、うん。ありがと。レイさん」

「うふふふ、やっぱり、へんなの」
「ははははは、だって・・・」

シンジは、やっぱり、顔を赤くして、笑いながら、わたしを見つめる。わたし
も、シンジの深く暖かい瞳を見つめる。やっぱり、シンジと一緒にいるとたの
しい気分になれる。あったかい気持ち。なんでだかは、わかんないけど、でも、
ホントにたのしいから、いいんだと、思う。

「レ、レイさん」
「なぁに?」

「あ、あの・・・レイさんは、ずっと、この島に、ひとりでいて、その・・・
寂しいとか、思いませんでしたか?」
「なぜ、寂しいの?」

「いや、その・・・いえ、そうですね。レイさんなら、そんなはずないですも
んね」
「やっぱり、シンジのいうことは、さっぱり、わからないわ」

「い、いえ、いいんです。その、僕が勝手にいってるだけだから」
「そう?じゃ、いいわ。わたしは、きいててあげるから」

「あ、あの・・・レイさん」
「なに?」

「・・・・いえ、やっぱり、いいです」

シンジは、顔を真っ赤にして、下を向いて、黙りこんで、しまう。さっきから、
ずっと、そう。うふふっ、へんなの。でも、わかるような気もするの。不思議
ね。

「わたし、わからないけど、きっと、それは、逃げてるっていうのかもしれな
いわ。だから、叱ってあげるね。こら!シンジ。ダメでしょ!逃げちゃ」

「う、うん。そうだね。凄いね。レイさん、そんなの、直観的に、分かっちゃ
うなんて」
「うふふっ、わたしは、なんでも、分かるのよ」

本当は、なぁーんにも、わかってないけど、うまくいったみたいだから、わた
しは、ニッコリ笑って、威張って、シンジのほうを見るの。シンジは、ちょっ
と、驚いたように、わたしを見た後、やっぱり、優しい瞳で、今度は、顔を耳
まで、真っ赤にしながら、わたしの方をむいて、なにか、思い切ったように、
口を開く。

「あ、あの・・・僕は、レイさんが好きです。レイさんは、僕のこと、どう思
いますか?」

なにをいうのかと、不思議に思って、わたしは、シンジの方をじっと見ていた
ら、シンジは、そんなこといいだした。わたしは、よくわからなかった。だっ
て、そんなの、なんで、そんなに、いいだしにくいことなの?

「わたしは、シンジが好きよ。あたりまえだわ。そんなの」
「・・・・」

シンジは、顔を真っ赤にして、そして、うつむいたまま、黙ってる。どうした
のかしら?なんで、黙ってるのかしら?わたし、変なこといったかしら?

「シンジは、みんなを楽しくさせる人だわ。だから、好き。それに、シンジの
目が、わたしは、好きだし、それから、シンジといると、とっても、胸のあた
りが、あったかい感じがして、それは、なんか、変な感じだけど、でも、とっ
ても、楽しいから、その感じは、とっても、好きだわ。わたし、変?」
「・・・・ありがとう。レイさん」

シンジは、わたしの質問には、答えずに、わたしにお礼をいった。わたしは、
なんで、お礼なんかいうのか、わからなかったけど、でも、なんとなく、や
っぱり、あったかい感じがして、気分がよかった。でも、なんだか、変。わた
し、風邪でも、ひいたのかしら?あったかいのを通り越して、なんだか、とっ
ても熱いわ。だめだわ。とっても、変だもの。

「わたし、ちょっと、泳いでくる!」

わたしは、そういって、たちあがって、目の前の海に飛び込む。でも、顔のあ
たりが熱っぽいのは、ちっとも、おさまらない。わたしって、やっぱり、変ね。

でも、海は、好き。泳ぐのも好き。やっぱり、いいわ、海って。わたしが、水
面から、顔を出して、島の方を見ると、シンジが、優しい笑顔で、わたしの方
をみてる。

うふふっ、シンジって、泳げないのよ。泳げない人って、はじめて見たわ。そ
んな人もいるのね。きっと、いろんな人がいるのね。シンジの街には。でも、
きっと、シンジみたいな、人は、いないわ。だって、シンジみたいな人ばっか
りなら、シンジは、もっと、帰りたいと思うはずだもの。きっと、意地悪な人
ばっかりなのよ。だから、シンジは、帰りたくないんだわ。だから、ずっと、
この島にいるんだもの。絶対、そうよ。


    ◇  ◇  ◇


薄手の半ズボンとティーシャツで身を包んだ少女が海を泳ぐ。既に、生活の一
部となった動作。どこまでも透けるような海の色が、そのまま染みついたよう
な青い髪の少女は、まるで、人魚ででもあるかのように、軽やかに海を泳ぐ。
それは、少女の日常だった。しかし、少女の深く燃えるように赤い瞳は、少女
の非日常を示していた。明らかにいつもと違う。キラキラと恋に燃える真っ赤
な瞳、それは、少女のはじめての大きな変化であった。もちろん、少女は、そ
んな自分の変化には、気づいていない。

平和な島の一日。穏やかな空。穏やかな平穏な海。しばらくは、嵐などきそう
もない。そして、少年と少女のこころは、おおきな動揺をはらみながらも、や
はり、平和そのものの象徴のように、暖かく、楽しい気持ちで満ちていた。誰
しも、この平和が、ずっと続くことをのぞむ。平和な時。それは、一瞬の幻想
でしかないのに。

島から、さほど遠くない海上に一隻の船。そして、その甲板では、船長らしい、
しかし、それにしては、若い女性が、イライラしながら、下っ端の船員をしか
りとばしている。

「ちょーっと、なに、ちんたら、やってんのよ。さっさと、見つけなさいよね!
あんな奴に負けたら、ただじゃ、おかないからね!」
「で、でもぉ、あっちは、空からですよ。船長」

「うっさいわね。あんな、玩具みたいなのに、負けてたら、また、減点なんだ
からね。それでなくったって、アタシは、ヤバい状況なんだからね!」
「それに、まだ、生きてるかどうかも・・・・」

「アンタばかぁ?そんなことは、どうでもいいのよ。とにかく、命令なんだか
ら、アンタたちは、必死にさがせば、いいのよ。わかってるの?」
「は、はい。船長。それが、我々の任務ですから」

「船長!あそこに、島が見えます!」
「ホント!どこ?」

「あそこです、あそこ!」

マストの上からの報告に、船長は、目を凝らす。確かに、島が見える。しかも、
海流からすれば、漂着していてもおかしくない位置に、その島は存在している。
そもそも、この船は、それを読んで、この海域へやってきたのだから。

「よくやったわ。ドンゴロス!船をあの島に向けるのよ」
「あ、あの・・・本部への連絡は・・・」

「いいのよ。そんなのは、まだ、いるかどうかも、分かんないんだから。さっ、
さっさと、舵をあっちへ、むけなさい!」
「は、はい。船長」

ドンゴロスと呼ばれた、下士官らしき男は、その若い船長に敬礼をしたあと、
慣れた手つきで、舵をあやつり、進路を島へ修正する。そこへ、再び、マスト
上から声が飛ぶ。

「せ、船長!飛行挺が、島へ降ります」
「なんですって?まさか・・・と、とにかく、急ぐのよ!全速前進。エンジン
出力、120パーセント!」

「せ、せんちょ。それは、いくらなんでも・・・」
「うっさいわね。あんな奴に負けて、くやしくないの?」

「でも、もう、遅いと思うんだけどなぁ・・」

船長の強い指示で、とりあえず、エンジン出力をあげてはみるものの、ドンゴ
ロスは、こっそり、そうつぶやく。

「なんか、いったぁ?」
「い、いえ、なんでも、ありません。船長」

「とにかく、急ぐのよ!ちょっと、アンタたち、暇なら、オールでも持って、
漕ぎなさい!」


    ◇  ◇  ◇


少女は、空に浮かんでいるはじめてみる物体をいち早く確認すると、急いで、
岸にあがり、シンジをつれて、小屋へ戻る。

「おじい、空からなにかが、来たわ」
「なんだって?空から?・・・飛行機かね?」

老人は、驚いたように立上り、そして、窓の方へ走る。少年が、冷静にそれに、
答える。

「いえ、飛行挺です。たぶん、僕を連れ戻しに来た」

老人は、窓から、食い入るように空を見上げる。少女は、少年の言葉にショッ
クを隠しきれず、驚いた表情で、少年に問いかける。

「シンジ、ずっと、ここにいてくれるんじゃなかったの?・・・・帰っちゃう
の?」
「・・・・ごめん。レイさん」

「なんで・・・・」
「でも、あの人たちには、勝てないから・・・」

「本当は、帰りたくないのね?」
「・・・・」

「なら、大丈夫よ。ここに、隠れてればいいんだもの。わたしがシンジをまも
ってあげるわ。だから、シンジは、ずっと、ここにいるのよ」
「うん・・・ありがとう。レイさん」

少年は、なにか考えながら、少女に礼をいう。老人は、やはり、食い入るよう
に、窓の外を見ている。

飛行挺が島の海岸へ降り立つ。扉が開きゴムボートが投げ出される。数人の人
間が飛行挺の中から、出て来て、ゴムボートへ乗り移る。そして、海岸へと漕
ぎ出す。

海岸へついた彼らは、一人のすらりと背の高い指揮官らしき人物を先頭に銃を
かまえて、島の中心部にたっている老人達の住んでいる小屋に向かって歩き出
す。

「ふふっ、間違いない。やはり、シンジ君の足跡だ。彼は、海流に流されて、
この島について、生きているんだね」

指揮官らしき兵士が、砂浜の足跡をみて、つぶやく。

「いいかい。みんな。決して、殺しちゃいけないよ。なるべく無傷で、逮捕す
るんだよ。指令に怒られるからね」
「わかっています。しかし、この島の住人は、どうしましょうか?」

「ふふっ、そうだね。別に、なにも命令は受けていないからね。でも、殺すこ
とはないね。いや、こんな島でくらしていくなんて、殺してあげたほうが、幸
せなことかもしれないけどね」
「わかりました。では、一応、出来る範囲で、危害は与えないようにというこ
とで、よろしいでしょうか?」

「そうだね。こちらに危害をあたえなければね。僕も、そのほうが、こころが、
痛まずにすむからね」
「はい。了解しました」

「次長!人が、老人が出て来ました」
「そうかい」

次長と呼ばれた指令官が小屋の方を見る。そして、瞳に悲しいかげを浮かべな
がら、部下の兵士に話かける。

「どうも、無傷で、というわけには、いかなそうだね」
「はい。どうも、そのようで」

老人は、怒っていた。上陸して来た兵士達に。兵士達が、武器を携行していた
ことに。兵士達が、近くまで、寄って来て、声が届く距離へ達すると、老人は、
叫んだ。

「お、お前達は、まだ、そんなことをやっているのか!あの、教訓になにも学
ばなかったのか!」

「彼が、なにをいってるか。わかるかい?」
「い、いえ。意味不明です。ただ、非常に怒っているようです」

「それは、こまったことだね。それに、あれは、なんだろうね?」
「あれは、ロケット弾です。おそらく、セカンドインパクト前の遺物でしょう」

「爆発すると、思うかい?」
「おそらく・・・火薬が死んでさえいなければ」

「それは、また、こまったね。一応、説得は、試みるべきだろうね」
「それは・・・そうですね」

そういうと、指令官は、武器を部下に預け、一人で、前に進む。彼らの制服と
なっている飛行服のフードを外すと、透けるような銀色の髪が溢れる。さらに、
顔を覆っていたスカウターを外す。若い。まだ、青年ともいうべき若い顔が現
われる。

「ご老人。我々は、人を探しているだけです。あなたがたに、危害を加えるつ
もりは、ありません。碇シンジという少年を探しています。こころあたりは、
ないですか?」

もちろん、老人には、こころあたりがある。もしかしたら、遭難した少年を助
けに来ただけかもしれない。しかし、やはり、老人は、少年を返したくない。
彼らへの怒りもあるが、本当のところは、老人が愛する少女のために、老人は、
彼らに少年を渡すわけには、いかないのだ。

「そんなものは、しらん。とっとと帰れ。さもないと、こいつを爆発させるぞ」

老人は、おそらく大異変前の遺物である。ロケット弾を抱え、ハンマーをかま
える。ロケット弾の先端部を叩けば、おそらく、爆発し、付近一帯が吹き飛ぶ
であろう。もちろん、老人もただでは、すむまい。

「やれやれ、やはり、ダメだね。どうしたもんかね?」
「一撃で、しとめれば、或は・・・」

「そうだね。しかし、外れると面倒だけどね」
「いえ、外しません。自信はあります」

「じゃあ、任せるよ。がんばってくれよ」
「はい」

そういうと、兵士は、地面に寝そべって、銃をかまえる。老人からは、草のか
げになっていて、見えないようだ。少年は、窓から、そっと、見ている。そし
て、兵士が、発砲しようとした、その刹那。

「僕は、ここだ!その人は、関係ない!」

少年が叫ぶ。兵士は、驚いた。しかし、勢いのついた指は止まらない。弾丸が、
老人からはやや反れた位置に着弾する。老人は、すぐ脇でおこった小さな爆発
に驚き、よろめく。そして、ロケット弾が手から滑り落ちる。

「おじいぃ!」


    ◇  ◇  ◇


爆発は、それほど、大きいものでは、なかった。しかし、すぐ側にいた老人に
とって、それは、小さすぎはしなかった。

「おじい」

少女が駆け寄る。

「レイ・・・・」

老人の口から、微かに言葉が洩れる。

「おじい。大丈夫?今、鮫の肝をとってくるから、それを塗れば・・・」
「大丈夫だ。私は、大丈夫だから・・・あの少年を・・シンジを・・」

少女は、老人の言葉に、ハッと反応し、少年の姿を探す。少年は、機敏に行動
を起こした兵士達に捕らえられ、既に、海岸付近まで、連れていかれている。

「おじい、どうしよう。シンジが・・・」
「レイ・・・シンジをまもっておやり。大丈夫。レイなら。出来るから」

「おじい、わたし・・・」
「さ、おいき。レイ。シンジのところへ」

「うん。わかった。じゃあ、ちょっと、いってくるからね」
「頑張るんだよ。レイ」

少女は、老人の言葉もまたずに、愛用のモリをもって、海岸へ駆け出す。老人
は、優しい目で少女を見送る。


    ◇  ◇  ◇


わたしが、シンジをまもるんだから。だから、シンジは、いっちゃダメなんだ
から。だから。だから。わたしは、シンジのところへ、走る。シンジは、もう、
ゴムボードに載せられている。

わたしは、海に飛び込む。頑張って、泳ぐ。こんなに速く泳ぐのは、はじめて。
ハナジロとの時だって、こんなに速くはなかったのに。なんとか、飛行挺が飛
び立つ前に、おいつけそう。

シンジが飛行挺に入れられ、ゴムボートが格納されて、扉が閉まる。わたしは、
飛行挺の脚に飛びつく。飛行挺が走り出す。腕がちぎれそう。でも、シンジは、
わたしがまもるもの。だから、必死で、こらえる。

飛行挺が飛び上がる。わたしもぶら下がって、いっしょに、空へ浮かぶ。怖い。
でも、シンジ・・・

わたしは、必死に、飛行挺の脚をよじのぼる。中から人が顔をだして、わたし
を見つける。


    ◇  ◇  ◇


「次長。女の子がひとり、くっついてきてますが」
「なんだい?今度は・・・」

指令官の青年はキャノピーから、下を覗く。たしかに、少女が一人、くっつい
ている。

「やれやれ、やっかいだね。どうすればいいだろうね?」
「なんとか、振り落としてみます」

飛行挺が曲芸飛行に入る。少女は、一旦、飛行挺から引き離されるが、なんと
か、翼に飛びつき、落下をまのがれる。少女は、モリを翼につきたて、フラッ
プの接合部をえぐる。

「じ、次長。舵が・・・操縦不能です」
「なんだって?まったく、なにをやってるんだい。どれ。貸してごらん」

指令官の青年は、冷静に、操縦席につくと、自由のきかなくなった飛行挺を、
エンジンの出力と、尾翼の舵だけで、巧みに操る。

少女の捕まっている側の翼を下に向けると、水面へ降下する。翼が少女ごと、
水中へ潜る。

『ゴボッ・・・シンジ・・・ごめんなさい・・・・』

飛行挺は、再び、空へと舞い上がる。翼には・・・・少女の姿は・・・ない。
ただ、モリだけが、一本、寂しそうに、刺さっていた。

つづく


あとがき

どうも、筆者です。

未来少年レイ第弐話「平和」をお届けしました。

え?どこいら辺が「平和」?
ちゃんと、最初のほうが、平和だったでしょ?
だって、「別れ」とか、「爆発」とか、「飛行挺」
あ、飛行挺ってのもいいな。じゃ、そうしよっかな。
いや、やっぱり、筆者は、平和が好きだから、平和にしときます。

で、話の筋は、一応、コナンと、まだ、似てますねぇ。
いったい、どの辺から、脇にそれるんでしょうねぇ。
まっ、たぶん、次回ぐらいから。おそらく。きっと。もしかすると。
だと、いいなぁ。と思っています。(・・・って、アンタ、筆者じゃないのか!)

ま、そゆことです。

で、一応。
赤い髪の若い女性も出て来ましたし、
銀の髪の青年指令官も出て来ましたね。
一体、なにものでしょうね?

しかし、こっちまで、男女入れ換えるとは・・・・
でも、性格的には、そうだよね。そう思うでしょ?(・・そうかな?)

あ、筆者は、ドンゴロス君、結構、好きなキャラなんです。
それで、彼だけは、ちゃんと、オリジナルの彼なんです。
それ以外は・・・・うふふっ、ひ・み・つ・!(・・・気持ち悪い?)

さて、次回は・・・・

レイは、どうなったのか?
おじいは? そして、シンジは?
それから、赤い髪の女と、銀の髪の男は?

いよいよ、いろんな設定が見えてくるかもしれない。(うーん、どうかな?)

お楽しみに

それでは、

もし、あなたがこの話を気に入ってくれて、
そして、もしかして、筆者の他の作品も読んで下さるとして、

また、どこかで、お会いしましょう。


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