レイが好き!臨時増刊
未来編
返事
僕は、駅のベンチで、待っている。今日は、3月14日。あれから、一カ月。やっ
ぱり、不安・・・・ずっと、不安だった。こんな僕だから・・・・でも、レイ
を愛している。ずっと、愛し続けているから・・・
僕は、レイを守って生きていきたい。これまでも、ずっと、そう思って、生き
てきたんだから。今は、まだ、レイに守られて生きている。レイは、強いから。
でも、いつかきっと、僕は、強くなって、レイを守れるようになって・・・・
だから、守っていくんだから・・・・
「ごめーん、まったぁ?シンジ」
「う、うん。ちょっとだけね」
「うふふっ、でも、待ってるの、楽しかったんでしょ?」
「そ、そんなことないよ。ダメじゃないか。ちゃんと、待ち合わせ時間に来て
くれないと」
「うふふっ、う・そ・つ・き・!」
「もう!・・・いいよ。いっつも、そうやって、レイは、僕をからかうんだか
ら」
「だーって、わたし、意地悪なんだもんっ!」
「そうなんだよね。ダメだな。僕は、すぐ、それを忘れるよ。忘れっぽいんだ
な。僕って」
「あー、ひっどいっ、シンジ。ホントに、そんなこと、思ってたんだ」
「はははは、もちろん。だって、レイは、意地悪なんだもん」
「もう!知らない。シンジなんか」
「ふふふ、じゃ、行こっか?」
レイは、口を尖らせて、拗ねながら、僕の腕につかまる。僕は、クスッっと、
小さく笑って、レイを見たあと、歩きだす。
「嘘だよ、レイ」
「うふふっ、わかってるもーん」
◇ ◇ ◇
「あら、いらっしゃい。久しぶりね。なんだか」
「お久しぶりです。レイコさん」
「うふふっ、こんにちは、レイコさん」
「相変わらずなのね。あなたたち」
「う、うん。まあ・・・そうだね」
僕は、真っ赤に、なりながら、レイコさんに答える。レイは、僕の腕にしがみ
つきながら、ニッコリ笑って、レイコさんの方を見る。
「でも、ちゃんと、認めるあたり、ちょっとは、成長したみたいね。シンジ君」
「そ、そうかな?」
「幸せ?レイちゃん」
「うんっ。とっても」
「いいわね。あなたたち。で、今日は、カウンター?」
「う、うん。後で、移るけど。ちょっと、話したいから・・・」
「そう。じゃ、奥あいてるから。どうぞ」
「うん。ありがとう。レイコさん」
レイコさんに注文をいった後、僕達は、奥の席につく。いつものように、レイ
は、僕の横の席に座って、からだを横にして、僕を見る。
「話って、なんなの?シンジ」
「う、うん・・・その・・・」
レイは、少し、不安な様子で、僕を見つめる。僕は、顔を耳まで、真っ赤にし
て、黙りこむ。でも、言わなきゃいけないんだ。僕は、強い男になるんだから。
でも・・・もしも・・・いや!僕は、レイを守るんだから。
「・・・こないだの返事・・・聞きたいんだけど」
「・・・・・」
レイは、悲しみを瞳に湛えながら、黙りこんで、うつむく。
『え?なんで?・・・そうか・・・レイは・・・』
「いいんだよ。僕は、はじめっから、そういう存在のレイを好きになったんだ
から。だから、愛しているんだから。だから・・・お願い。断らないで・・・
お願いだから・・・」
レイの瞳に涙が浮いてくる。僕は、レイのからだをつかんで、僕の方へ向ける。
ぼやけたレイの真っ赤な瞳から、涙がこぼれ落ちる。僕は、レイのからだを引
き寄せて、強く、強く、抱きしめる。
「レイ・・・」
「・・・・」
「お願いだから・・・」
「・・・・」
レイは、一言も言葉を発しない。ただ、僕の胸の中で、すすり泣く。僕は、レ
イを抱きしめつづける。レイの口から、小さな声が洩れる。
「いいの?・・・わたしで」
「ばか」
「うん・・・わたし、ばかだから」
「意地悪」
「うん、意地悪だから」
「好きだよ」
「・・・うん。ありがと」
僕は、レイを抱きしめていた腕を緩める。レイは、そっと、僕から離れ、そし
て、涙を拭く。僕は、レイに話かける。
「受けてくれるね?」
「うん」
「じゃあ、これ」
「・・・なに?」
僕は、ポケットから小さな包みをとりだし、レイに差し出す。レイは、不思議
そうな顔で、それを受け取る。
「給料の3カ月分・・・といっても、僕の給料じゃしれてるけどね」
「シンジ・・・」
レイは、包みを開けて、中身を確認すると、僕の目を見つめて、僕の名をつぶ
やく。
「じゃ、じゃあ、カウンターの方に行こうか?レイコさんも待ってるし」
僕は、顔を真っ赤して、カウンターの方に歩き出す。レイは、クスクス笑いな
がら僕の後について来る。
「終わったの?話」
「う、うん。終わった」
レイコさんは、ニッコリと微笑みながら、僕達を迎えてくれる。僕は、やはり、
照れながら答えた。僕の横から顔を出して、レイがレイコさんに元気に話かけ
る。
「ちょっと、聞いてよ。レイコさん。シンジったらねぇ。わたしが、ばかで、
意地悪だから、好きだっていうのよ」
「な、なにいってんだよ。レイ」
僕は、慌てて、レイに反論しようとする。レイコさんは、ニヤッと笑って、僕
の反論を遮るように、それに、答える。
「ふふふ、ホント、男って、酷いわよね。自分勝手でね。レイ、甘やかしちゃ
ダメよ」
「わかってる。厳しく、しつけてあげるんだから」
「レ、レイ・・・」
「うふふっ、未来の旦那様っ」
レイの左手にさっきの指輪がひかってる。
つづく
あとがき
えーと、筆者です。
一応、ホワイトデー記念なんですが、実は、まだ、3月14日じゃありません。
実は、バレンタインデーがおわったばっかりです。
いやぁ、つい、この間。バレンタインで、そういうのを書いたもんで、
その後、どうなるのかな?って、いろいろ、レイとシンジの会話を想像してて、
楽しかったので、お話にしちゃいました・・・・(って、俺って、いったい?)
しっかし、たのしいねぇ、レイって。
泣いたり、笑ったり、怒ったり。
ホント、こんな娘、いるんだろうか?・・・いないだろうねぇ・・・
いいんだよね。お話だから。
テレビ本編のレイは、可哀相すぎるからね。
だから、幸せになって、欲しいもんね。
で、この話は、筆者のページ「レイが好き!」に連載中の小説「レイが好き!」
の未来編です。一応、この後の二人の姿も、増刊号に書いてますんで、
もしよろしかったら、お越し下さい。待ってますから。
あ、一応、この話の元になった話は、掲示板の書き込みにあります。
多分、過去ログを探せば、乗ってるはずです。(無茶苦茶な話だけど)
(現時点では、まだ、カレントにあるけど・・・って、今は、いつ?)
元ネタでは、「綾波」「碇君」って、呼んでるし、完全本編準拠のつもりだから、
一応、これとは、違う話ですけど、まあ、この方が楽しいかな?って、思って。
と、いうわけで、無理矢理、「レイが好き!未来編」にしてみました。
あぁ、ということは、いつか、この直前の話もかかなくちゃ・・・(って?)
あ、カヲルさん、こんなに早く、ホワイトデー企画送っちゃって、ごめんね。
(・・・・だから、今は、いつなの?)
それでは、
もし、あなたがこの話を気に入ってくれて、
そして、もしかして、他の作品も読んで下さるとして、
また、どこかで、お会いしましょう。