嗚呼アスカ様!
第五話
同居


「アスカ、アスカ、朝だよ。起きなよ。アスカってば」
「ん、んん〜」

「早く起きないと、また、遅刻だよ。リツコさんに、また厭味いわれるよ」
「んん〜・・・」

「さっ、昨日は、そんなに遅くまで起きてた訳じゃないだろ?甘えるのもいい
加減にして、そろそろ、起きな。アスカ」

いつものようにカヲルは、アタシの身体を静かにゆすりながら、口調だけは一
人前に、まるで、年上の、同棲相手とでもいったように、アタシを起こす。

「・・・・」

アタシは、起こされて、頭が、それなりにはっきりして来ると、目を開けて、
じっと、カヲルの顔を見る。

「なに?アスカ」
「・・・カヲルよね?・・・アンタ」

「なに、いってんだよ。当たり前じゃないか。さっ、朝ご飯出来てるよ。顔洗
っておいで」
「あぁ、そうね。それじゃ」

アタシは、のそのそと起き上がって、洗面所の方に向かおうとする。カヲルは、
そんなアタシの様子を、いつもの微かにしか分からない微笑みを浮かべながら、
見ている。

「なによ?」
「やっぱり、綺麗だね。アスカって」

「アンタばかぁ?それ以外の感想ってないの?そればっかじゃない」
「ふふふ、ようやく、目が覚めたみたいだね。アスカ」

カヲルは、いつも、おんなじ台詞をいう。『綺麗だね。アスカって』それに、
アタシは、いつもとおんなじ台詞で応える。カヲルは、そんなアタシの台詞に
安心したように、にこっと、笑うと、今度は、ニヤリと良くない笑みを浮かべ
る。

「でもさ、アスカ。その格好は、僕のような少年には、刺激が強すぎると思わ
ない?」
「ア、アンタ!!そう思うなら、さっさと、あっち行きなさい!」

アタシは、自分の格好にきづいて、慌てて、ベッドの上から、タオルケットを
とって、身体を包んで、その場に、うずくまる。

「ふふふ、可愛いね。アスカ」

そういうと、カヲルは、アタシのいったとおり、ダイニングの方へと姿を消し
た。

「あ、あのガキぃ・・・・」

アタシは、顔を真っ赤にして、運命を呪った。なんだって、アタシが、あんな
ガキにこんなにまで、惹かれるっていうのよ。だいたい、アタシは、こんなに
美人で、頭脳明晰で、エリートで、一流の科学者で、大人だってのに・・・・
なんで、あんな生意気な、大人びたガキに!!

まあ、確かに、容姿は、アタシと釣り合うぐらいに綺麗だけど・・・・それに、
アタシと同じように、ひとりぼっちで・・・だから、寂しい目をして・・・一
人で生きて行ける大人になりたくて・・・・

「だから、なんだっていうのよ!」


    ◇  ◇  ◇


結局、カヲルが何者なのか、というのは、謎のままだった。あのあと、いろい
ろ、調べたし、カヲル本人にも、聞いてみたけど、捜索願もでていないし、カ
ヲルからは、それほど、具体的なことは、やっぱり、聞けなかった。

リツコによれば、やはり、レイと同じような存在という可能性が高いらしいけ
ど、うちの研究所関係では、知る限りはありえないとのことだった。


    ◇  ◇  ◇


『でも、アスカちゃん。やっぱり、責任とってあげないとだめなんじゃない?』
「なによ。それどういう意味よ」

『一夜を同じベッドで、ともにしたんでしょ?それに・・・』
「リ、リツコ!何いってんのよ。アンタ。・・・それに?」

『すっごい美少年じゃない。頑張ってね』
「な・・・」

『協力は、おしまないわよ。じゃね、アスカちゃん』
「ちょ、ちょっと、待ちなさいよ」

『がちゃっ』
「あっ・・・あのババァ・・・」


    ◇  ◇  ◇


で、まあ、リツコの政治的手腕もつかって、なんとか、カヲルの戸籍を作って、
中学校の入学手続きの時は、ミサトに無理矢理なんとかさせて・・・

・・・・で、同居・・・・


    ◇  ◇  ◇


『あら?同棲っていうんじゃないの?』
「だから、なんだって、そんな天涯孤独の戸籍なんて作んのよ。アタシの弟っ
てことにしとけば、簡単じゃないの」

『だって、それじゃあ、結婚できないわよ?いいの?アスカちゃん』
「な、なにを・・・」

『じゃ、そゆことで、頑張ってね。アスカちゃん』
「ちょ、ちょっと、待ちなさいよ!」

『がちゃ』
「あぁぁっ!・・こ、この、くそババァ!!!」


    ◇  ◇  ◇


「アスカ、いつまで、顔洗ってるんだい?」

ぼうっと、鏡に向かって、この一週間の出来事を思い返していると、後ろから
声がかかる。

「うっさいわねぇ!美人の洗顔は時間がかかんのよ。待つの嫌なら、ひとりで
先食べてなさいよ」
「ふふふ、だって、僕は、アスカと一緒に食べたいからね。それじゃあ、もう
少し、待ってるよ。なんたって、アスカは飛びきりの美人だからね」

つづく

あとがき どもども筆者です。 さて、んなもんで、いががでしょうか? っていうか、やっぱ、このカヲル君は、あの時のカヲル君だよねぇ? てことは、謎のまんまにならざるを得ないと思わない?(汗) で、レイと会わせるのは、やっぱり、辛いねぇ・・ んで、アスカは、こういう相手なら、案外素直になれるかもなぁなどと、 無理矢理思うことにして、いきなり、次回からは、らぶらぶモードに突入なのだ!! つまり、ようやく、導入の言い訳部分が、終った訳ですね。 あとは、如何にイメージに合わなかろうが、辻褄が合わなかろうが、 とにかく、好き勝手に、二人のやりとりを書くのです。(書ければだけど・・) あっ、最近の愛読書ってのが、山田南平さんの「130センチのダンディ」から続く 久美子&真吾シリーズだったりするもんで、すっかり、そのノリで行く予定っす。 しかし、この話は、結構、書きたいなと気になってたんで、 なんとか、再開できて、嬉しい。 あと、再開できてないのは・・・「未来少女・・」うぅ・・・どうしよ? あれって、やっぱ、ノリが明らかに他と違うもんなぁ・・・・ 戦争モノなんて、書けんよぉぉぉ(><)8 んじゃ、そゆことで、次回は、ふたりの新生活ってのをなんとか 掛け合い漫才風に書いてくでしょう。 ・・・いつになるか分からんけどね。 とりあえず、「レイが好き!」30話の方が、先だろうな・・・ それでは、 もし、あなたがこの話を気に入ってくれて、 そして、もしかして、他の作品も読んで下さるとして、 また、どこかで、お会いしましょう。

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