材の質がギターの音色に影響を及ぼすって、ホンマかいな?と思ったわけです。 いえ、疑いなく、影響は及ぼすと思いますが、それを聴きわけてるって凄いな・・・と。 音楽って、結構微妙なニュアンスの世界なんで、たぶん、本当に聴けてるんだと思うんですが、 私自身は、そんなに音楽のセンスないもんで、違う音であることぐらいはわかっても、 何がどう違うって、言えないなぁ・・・と感じるのです。 そもそも、堅い音、柔らかい音っていうイメージが、なんかよくわからない。
聴いてもイメージできないなら、数字にして、グラフにして、 ビジュアルなところからなら、なんかイメージできるかな? と、いうのが、そもそもの発端です。
この固定端編は、そういう意味では、目的を達成できていません。 弦の両端を動かないものと仮定してしまっているので、 ギター材の堅さ・柔らかさがどう音に効くののかっていう話はできていません。 弦の両端を動くようにするには、ネックやボディ側の力学(板バネとみなせるだろうか?) を解かないといけないので、もうひと手間かかります。
今のところは、とりあえず、弦の方の動きだけを解いてあげて、 究極的に堅い材で作ったギターってのは、 どんな風に音ができるのか?ピックアップの位置によって、音はどう変わるのか? というあたりを中心にお話してみます。
設定すべきパラメタは、 一応、現実っぽくということで以下のように設定してみました。
length=0.648 弦長(m):0.648m≒25.5インチ g_mass=0.0005 弦の質量(kg):0.0005kg=0.5グラム tension=50.0 張力(N):50N≒5キログラム重 hit_pos=0.08 弾く位置(m) s_pos1=0.03 ピックアップ1の位置(m) s_pos2=0.15 ピックアップ2の位置(m) imax=100 弦の分割数:100分割≒約6mm間隔 dt=0.000000025 計算刻み時間(sec):25ナノ秒=50MHzピックアップの位置はかなり適当。ちょっと手元に本物がなかったもので・・・
ピッキングする位置からナットへの直線と、テールピースへの直線を引いたところから始めてもいいかな?
とも思った。つまり、こんな感じ
図1:弦全体の初期形状ケース0(クリックすると大きくなります)
横軸が弦と並行な方向(0がテールブリッジで、100がネック)、縦軸が直角方向への距離(単位はメートルだから、一番上のところで2ミリです)
しかし、ギター初心者向けの解説だと、「ピックは軽くつまむだけで、なるべく力をいれない」 というようなことがよく書いてある。 初心者レッスンの動画をみてると、なんとなくだけど、 上の図のようにはならないようなイメージがする。 なので、とりあえずケース0としておいて、別の方法も考える。
さて、どうするか?・・・ちゃんと弾くところも外力として力を与えてやってみましょう。
というわけで、基本設計の2番目のような形になっています。
ピッキングの時に加わる力の時間変化なんてわからないので、ひとまず、外力は一定とせざるを得ません。
で、弦に押し戻されて支えきれなくなったところで、力を与えるのをやめる。
これでどうかな?と、与える力の大きさを試行錯誤。
だいたい100グラムの力だと、1.7ミリぐらい、はじけるみたい。これをケース1としてみる。
そんで、約1.4ミリ(8割)の位置まで押し戻されたところで、はじくのをやめる。
(というか、ピックが弦から外れるというようなイメージ)
はじいてる時間は、だいたい、0.004秒間になりました。(これって、どんなもんなのかな?)
この時、弦全体の状態は、上の図とはだいぶ違います。
テール側から8センチのところを弾いたときは、こんな感じ
図2:弦全体の初期形状ケース1(クリックすると大きくなります)
横軸が弦と並行な方向(0がテールブリッジで、100がネック)、縦軸が直角方向への距離(一番上のところで1.8ミリ)
たぶん、じわぁ〜っとピッキングした場合が、ケース0に近くて、 ピンッと、瞬間的にピッキングした場合が、ケース1に近いんじゃないかなと思いますが、 さて、どっちが現実に近いのでしょうねぇ?
ケース1:
左の図:赤(0.004秒)→緑(0.0045秒)→青(0.005秒)→紫(0.006秒)→水色(0.007秒)、
右の図:赤(0.007秒)→緑(0.0075秒)→青(0.008秒)→紫(0.085秒)→水色(0.09秒)
→茶色(0.095秒)→黄(0.1秒)という風に弦の形状が変化します。
ピッキングによるふくらみはテール側に戻って、反対側へのふくらみを作ったのちに、
ネック側へ移動していき、ネックに到着すると、また膨らみを反転させて、
テール側に戻ってきます。やや形を乱しながら、何回かこの往復運動を続けます。
一往復は、やはり0.005秒強(200Hz弱)ぐらいのようです。
この設定の弦の持ついわゆる(n=1の)固有振動ってのが200Hz弱なのだろうと思います。