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「久しぶり、シンジ!」 「アスカ?」 「・・・・・碇君・・・・・この人誰?」 レイは先程のシンジを見て、自分がシンジを好きな事に気づいた。 そのシンジを名前で呼ぶ少女が、目の前にいるのだ。 それも、同姓の自分が見ても、とても魅力的である。 レイの心の中で今、小さからぬ波紋が起きていた。 『レイ、ぼやぼやしてると、ホントに碇君、誰かに取られちゃうよ!』 ヒカリに言われた一言が、頭の中でリフレインする。 10分前だったら、笑っていられたろう。でも今はそんな事我慢できない。 (確認しないと・・・・・ちゃんと確かめないと・・・・・) そう思って、もう一度声を出そうとした、その時。 自分の後ろから声がした。 「レイ!」 「カヲル?」 カヲルと呼ばれた少年は、レイに向かって驚いたような顔をしていた。 「どうしてカヲルがここにいるの?」 どうしてここに、自分の従兄妹が居るのか。 今、何が起きているのか・・・・・レイは混乱の中に居た。 シンジもレイと同様混乱していた。 が、レイのそれとは、まるで違っていた。 自分が助けた少女が、あのアスカである。 幼い頃、自分を苛めた女の子。 確かに他の子に苛められたときは、助けてもらった。 アスカが居なかったら、自分は外で遊ぶ事など出来なかっただろう。 或る意味で救世主でもあるが、シンジの深層心理はそう言ってない。 <アスカ=苛められる=逆らえない> トラウマであった。 一方、アスカは目の前の二人を見ていた。 自分を見て固まっているシンジ。 そのシンジに、抱き着いている少女。 その少女のことを『レイ』と呼んだ少年に声をかける。 「カヲル、アンタあの子の事知ってるの?」 「え、うん。僕の従兄妹。名前はレイ。同い年だよ。」 「ふ~ん。」 そう言ってレイを見つめた。 ぬけるような空と同じ青い髪、真紅の燃えるような紅い瞳。 そして真っ白に近い肌。それがほんのりと桜色に染まっている。 それによって究極の造形美に、命の通っている事がわかる。 (綺麗な子ね・・・・・) アスカはレイが気に入った。 (シンジには勿体無い子ね。) 先程の男達を、簡単にあしらったシンジは、確かに昔と違うだろう。 だがアスカにとって、シンジはシンジで、 それ以上でもまた、以下でもない。 「くおぉらぁ~~!バカシンジ!! 何時までくっついてんの!!!」 シンジはその一言にビクッっと震えた。 その震えは、レイにも伝わった。 レイはシンジの顔を見た。 「ア、アスカ・・・・・何で・・・・・ここ・・・・・に?」 「何でって、アタシは今この街に住んでるの! アンタこそ、何でここに居るのよ。」 「僕も先週から、こっちに引っ越して来たから・・・・・」 「じゃあ、叔父さまや叔母さまも一緒なの?」 「父さんと母さんは、今ニューヨークにいるよ。 NERFの本部移転の為の手続きに行ってる。 だから、今ここにはいないよ。」 「じゃあ、アンタ、何処に住んでんのよ?それに一人暮らし?」 「父さん達の知り合いで、僕の学校の先生の家でお世話になってる。」 「何処の学校?って言っても、この辺りだと第一中学?」 「うん。アスカは?まさか一緒?」 「違うわ。第2東京大学付属の中等部よ。」 「そうなんだ。凄い所にいるんだ。でも・・・・・」 「でも、何?」 「何時、日本に帰ってきたの?確かドイツにいた筈じゃ?」 「去年の暮れに帰国したの!」 「じゃあ、途中転入?・・・・・でもあの学校って選りすぐりの子供ばっかりで、 滅多に転入出来る所じゃ・・・・・あ、昔から頭良かったからね、アスカは。」 「あったりまえでしょ!アタシはドイツの大学をもう卒業してんの! 義務教育だから、学校行ってるだけなの!」 「そ、そうなんだ・・・・・」 「それよりアンタ達、何時までくっついてんのよ!」 「僕もそろそろ、離れた方が言いと思うよ。」 それまで黙っていたカヲルも言った。 二人に指摘され、シンジとレイは自分達の格好に気づき、 慌てて離れた。今までレイはシンジに抱きついたままだった。 それこそ<ボッ>っと、音が聞こえそうなくらい、一瞬で真っ赤になる二人。 レイはシンジを見たが、まだ話しを聞ける状態でない様に見えた。 その為、視線をアスカとカヲルに向けた。 「カヲル、どうしてここに居るの?」 「どうしてって、今この街に住んでるから。」 「何時から?それに、こっちに来てるならどうして連絡くれないの?」 「親戚関係は誰にも連絡してないよ。だって僕、無理を言って帰ってきたから。」 「無理を言って?・・・・・どう言う事?」 「親の反対を押し切って帰国したのさ。」 「???」 そう言って、ニコリと笑う。レイは何が何だか、訳がわからない。 「簡単に言うと、アスカと離れたくなかったから。」 普通だったら、照れて言えないような事をサラリと言った。 「バ、バカ。何言ってんのヨ。」 隣にいたアスカの方が照れている。 そんな二人を見て思った。 この二人、交際っているならいいな、と。 そうすれば、アスカにシンジを取られる心配が無くなる。 シンジとアスカの関係は、只の知りあいには思えないから・・・・・ レイは自分が一番聞きたい事、さっきシンジに聞こうと思った事を聞いた。 「じゃあ、カヲルはこの人とお交際してるの?」 その問いにはアスカが答えた。 「ジョーダン!只の友達よ。と・も・だ・ち!!」 「・・・・・だってさ。」 アスカは腰に手を当て胸を張って答える。 それを見てカヲルは、やれやれ、といったポーズを取った。 「カヲル。いい加減アタシの事を紹介しなさい!!」 「あ、そうか。レイ、この子が今言ったアスカ。僕が大事に思ってる人。 で、アスカ。この子がレイ。さっきも言ったけど僕の従兄妹。」 カヲルは臆面もなくまた照れるような事を言う。 完璧にマイペースを貫く。 「まったく、恥ずかしいから止めなさいっての。」 アスカはそう言いながらカヲルを睨む。 そしてレイに向かって手を出す。 「アタシはアスカ。惣流・アスカ・ラングレー。 ドイツ人と日本人のハーフなの。よろしくね。」 「私、綾波レイです。こちらこそよろしく。アスカさん。」 「アタシの事はアスカって呼んで。」 「じゃあ、私の事はレイって呼んでください。」 「肩苦しいから、敬語はやめよう。ね。」 そう言ってお互い握手をしながら微笑む。 レイの笑顔を見ながら、アスカは思った。 (この子、レイってホント綺麗な子ね。 カヲルと同じ紅い瞳をしてるけど、カヲルの包み込むような瞳じゃなくて、 凄くやさしい瞳をしてる。ホントシンジには勿体無いわね。) 「ねえ、レイ。」 「え、何?」 「シンジと交際ってんの?」 アスカは探るようにレイの顔を覗き込む。 レイは顔を赤くして俯いてしまう。 アスカはシンジに改めて聞いた。 「シンジ、アンタ達交際ってんの?」 アスカは、嘘をついたら只じゃおかない、と目でシンジに言う。 レイはシンジがどう答えてくれるか、不安げな顔を向ける。 「つ、交際ってるって・・・・・そんなんじゃ・・・・・まだ・・・・・」 レイの顔が落胆の色を見せるが、シンジにそれを確認する余裕などない。 「まだ、何よ。ハッキリしなさい。バカシンジ!!」 シンジがハッキリしないのでアスカが切れる。 アスカの『バカシンジ』にレイが反論する。 「碇君はバカじゃない!」 声自体は小さかったが、ハッキリ、意思を込めて言った。 一瞬、呆気に取られたアスカだったが、それでアスカは二人の関係を察した。 (なるほど・・・・・そう言う事か・・・・・つくづくシンジには勿体無い子ね。 でもシンジも相変わらずみたい・・・・・レイも苦労するかも・・・・・) 何となくレイが不憫になり、ついシンジを睨む。 何故睨まれたのかわからないが、シンジは思わず固まった。 「そろそろ・・・・・いいかな?・・・・・僕も紹介してよ。」 黙っていたカヲルが、静かに言った。 その一言で、アスカがシンジに向かって喋る。 「シンジ、これがレイの従兄妹のカヲル。」 「これ、は酷いな。よろしく。僕は渚カヲル。カヲルって呼んでくれれば良いよ。」 そう言って手を出す。 「あ、僕は碇シンジ。アスカとは幼馴染で、綾波とはクラスメートなんだ。渚君と・・・・・」 「カ・ヲ・ル!」 「あ、ゴメン。カヲル君とアスカってどうゆう関係?」 それにはアスカが答えた。 「だから、友達って言ったでしょ!アンタ、人の言ってる事聞いてないの?!」 そう言われても、今までパニックに陥っていたシンジに、 アスカ達の会話は届いていなかった。 「友達って、只の友達?」 「只の友達じゃあないわよ。カヲルはアタシの『下僕2号』よ。」 轟然と言う。2号? シンジはイヤな予感がしてアスカに聞いた。 「2号って・・・・・じゃあ、1号は?・・・・・って・・・・・まさか。」 そう言って自分を指差す。アスカは大きく頷いた。 「そ、当然アンタよ!何決まってる事聞いてんのよ。 昔からそうだったでしょうが!」 シンジは目の前が真っ暗になった。 カヲルは呆れたようにアスカを見た。 レイは呆気に取られている。 そんな三人を見ながらアスカがカヲルに言った。 「カヲル、そろそろ時間じゃないの?」 「あ、そうだね。そろそろ行かないと。」 「カヲル、何か書くものない?」 「あるよ。・・・・・・・・・・はい。」 「ありがと。」 カヲルからペンとメモを受け取ると、 アスカは自分とカヲルの連絡先を書いた。 それをシンジとレイに渡す。 それとペンとメモも渡し、連絡先を書いてもらう。 レイとシンジからメモを受け取ったアスカは言った。 「シンジ、後で電話するから。レイも電話して良いでしょ?」 「ええ、私も電話する。」 そう言った後カヲルを見る。 「カヲルも良い?電話して・・・・・ちゃんと聞きたいから・・・・・」 親戚には話してないと言った、カヲルの言葉が気になったから。 「いいよ。僕も久しぶりにレイと話したい。」 「お母さんには、カヲルに会ったこと、言って良いの?」 「ああ、叔母さんならいいさ。それに黙ってるのレイも辛いだろうし・・・・・」 そう言って笑った。それがレイには嬉しかった。 何時も自分に優しかったカヲルだったから。 「じゃあ、またね!」 そう言ってアスカとカヲルは離れていった。 シンジはまだ完全には立ち直っていなかった。 「碇君・・・・・碇君・・・・・」 「え、あ、何?」 「私達も、行こうか?買い物まだ終わってないから。」 そう言われて、シンジは自分達が何故ここにいるのか思い出した。 「そうだね、買い物に来たんだったね。」 ようやく自分を取り戻したのか、照れたように笑って、 シンジはそう言った。 「じゃあ、お弁当箱はこれに決めて、その後ご飯でも食べようか?」 シンジはレイにそう言った。 「うん。私もお腹すいてたんだ。」 そう言うと、レイはシンジの手を引いてレジに向かった。 急に手を繋がれてシンジは少し焦っていた。 顔が自然と赤くなる。 レイは、自分がこんなに積極的になれた事に、自分自身驚いていたが、 (さっきは抱きついちゃったし、こうしてると安心するから・・・・・) そう思い、握った手に力を入れ、シンジを引っ張って行った。 買い物を終え、お昼を食べた後シンジとレイは公園で休んでいた。 「今日は色々あったね。」 「うん。まさかあんな所でカヲルに会うとは思っても見なかったし・・・・・」 「カヲル君て綾波の従兄妹だよね。 今日言ってた、苛められたとき助けたのが彼なの?」 「そう。碇くんの幼馴染のアスカってどんな女の子だったの?」 「今日見たまま。ぜんぜん変わってないよ、アスカは。 自信家で、強くって・・・・・昔は僕も、綾波と一緒で苛められたんだ。 それをアスカに助けてもらってた。 アスカが居なければ、外でなんか、きっと遊べなかったよ。 ・・・・・・・・・・でもアスカにも苛められたけどね。」 「でも、今日の碇君、強かったし格好良かったよ。 昔、苛められてたなんて、信じられない。」 「前にミサトさんにも言ったんだけど、 アスカが引っ越した後、外に出なくなっちゃたんだ。 でもそれじゃダメだからって、父さんに合気道の道場に入れられたんだ。 最初は毎日ぼろぼろになってて、毎日イヤだった。 でも少しずつ強くなって来るのが自分にも分かるようになると、 それが自信になって、少しずつ外で遊べるようになったんだ。」 「あれって、合気道だったんだ。 私そう言うのわかんないけど、今日の碇君て、ホントに格好良かったよ。 カヲルの変わりに、私を守ってくれるって言ってくれた時、 ホントに嬉しかった。私、今日の事は忘れないよ。」 レイはシンジの顔を見てそう言った。 その顔は頬が赤くなっていた。 シンジはレイの顔を見て、さらに赤くなっていた。 自分がレイに言った言葉を思い出していた。 『僕が綾波を助けるよ。守るよ』 今更ながらに自分の言った事に照れてしまう。 「ホントに守ってくれるよね?碇君。」 レイがシンジの顔を覗き込むように言った。 「僕の出来る限りの事はするよ。約束する。」 「・・・・・ありがとう。」 「小さい頃、女の子に助けられてた僕に、 綾波が守れるかどうか、わからないけどね。」 「そんなことないよ。」 「そうかな?・・・・・アリガト。 ところで、今日はこれからどうしようか?疲れたから帰る?」 「碇君は?」 「夕ご飯の支度もしないといけないし・・・・・ ミサトさんには料理させられないから。」 「そうね・・・・・あれ、凄かったものね・・・・・」 レイはミサトの料理を思い出したのか、寒そうに肩を竦めた。 「ホントは料理を手伝いたいけど、お母さんに今日の事を話さないと。」 「じゃあ、また明日。」 「うん、今日は楽しかった。またね。」 そう言ってレイは帰ろうとしたが、シンジは思い出したように声をかけた。 「あ、綾波。お弁当箱、貸して。」 「あ、そうね。はい、これ。碇君のお弁当、楽しみにしてるから。」 「頑張ってみるよ・・・・・ミサトさんのより美味しいの作るから。」 手を振って二人は、それぞれの帰路についた。 「お母さん、今日カヲルに会ったよ。」 レイは家に着く早々、レナに言った。 レナもやはり知らなかったと見えて、驚いた顔をしていた。 「カヲルが?じゃあ、姉さん達も一緒に帰ってるの?」 「何か違うみたい。無理に帰って来たって言ってた。」 「無理にって?どう言う事?じゃあ姉さん達はまだドイツにいるの?」 レナは訳がわからないという顔をしている。 「私に聞かれてもわかんないよ。 電話番号聞いたから、後でかけて聞いてみようよ。」 「今じゃダメなの?」 「まだ出かけて帰ってないと思うよ。 日本に帰ってきた理由の女の子と出かけてるから。」 「日本に帰ってきた理由の女の子?」 レナはますます混乱したようだった。 レイにしたところで、全部わかっている訳ではない。 「うん、アスカ・・・・・惣流・アスカ・ラングレーって言う子で、 その子が帰国するって決まって、 離れたくないから帰って来たって言ってた。」 「惣流って言った?今。」 「うん。惣流・アスカ・ラングレーって言う子。」 「惣流!・・・・・キョウコの子供だわ。キョウコも帰国してたんだ。」 レナは驚いたような声を出した。 レイも自分の母親がアスカの母親と知り合いとわかると驚いた。 「お母さん、アスカのお母さんのこと知ってるの?」 「ええ、大学時代の親友よ。」 「親友?」 「そうよ。私と、キョウコと、後一人、碇ユイって子。 美人三人娘って有名だったのよ。」 「お母さん、今碇って言った?」 「ええ、言ったけど・・・・・何故?」 「私の友達に碇シンジ君て男の子が居るけど、関係あるのかな?」 「なんだ、レイはシンジ君を知ってるの?」 今度はレイが驚いた。 レナがシンジの事を知っていたのだ。 「ええ、前にユイから電話があったわ。 『息子のシンジがそちらに行くから。半年後には私達も行くから、 それまでシンジに何かあったらよろしくね。』って。 シンジ君がレイの学校に入る事は知ってたけど、 まさかシンジ君と、もう友達になってるとは思わなかったわ。 その上、キョウコの子供とも友達になってたなんて・・・・・ まして、カヲルが追いかけて来た子が、キョウコの子供だなんて・・・・・ 世の中って狭いわね。」 レナはしみじみと言った。 そして思い出したようにレイに聞いた。 「キョウコの家の電話番号、知ってるの?」 「一応、アスカに貰ってあるけど・・・・・」 「教えて、かけてみるから。」 レイは電話番号を教えた。 レナは番号を控えると、楽しそうに電話をかけに行った。 レイは自分の部屋に戻ると今日の出来事を整理した。 「碇君の幼馴染のアスカのお母さんが、私のお母さんの親友で、 お母さんのお姉さんの子供のカヲルは、アスカを追いかけてきて、 そして碇君のお母さんも、私のお母さんの親友・・・・・・・・・・ お母さんじゃないけど、世の中って広いようで狭いわね。」 今日一日、驚く事ばかりだった。色々な事が多すぎた。 でもやはりレイにとって一番心に残るのはシンジの事だった。 (今日は疲れたけど、楽しかったな・・・・・シンジ君格好良かったし・・・・・ 私の事、守ってくれるって・・・・・嬉しかった。 明日は私の分も、お弁当作ってきてくれるし・・・・・ それだけでも他の女の子より、一歩リードよね。 ヒカリのお陰だわ。感謝しなくちゃ。 そうそう、私もお料理覚えなくちゃ。家でもお母さんに教えて貰うようにしよっと。 碇君に嫌われないようにしないと、ヒカリの言う通りになっちゃうもんね。) そう考えると早速母親の所へいくレイだった。
コメント 何か、説明ばっかりになってしまったような・・・・・(^^;;; 稚拙ですいません。 折角出てきたアスカとカヲルですが、当分お休みです。(予定?) それとアスカの設定をハーフにしました。 母親を日本人にしたため・・・・・ (ドイツ人の父と日本人の母) 次回から、また学校がメインになります。 ではまた……苦情、罵倒、悪口、感想等なんでも受け付けしています。