「ガラスの仮面」二次創作
待つわ


「待たれるのは、迷惑ですか?」

新緑に包まれた公園、暖かく照りつける太陽の下、長い黒髪の小柄な少女は、震える言葉で、半歩先を歩く長身の男に問い掛ける。
男は、歩みを止め、空を仰ぎ見ながら、一言答える。

「そうだ、迷惑だ」

少女は、艶やかな黒めがちの瞳に涙を溜めて、男の顔を見上げる。背景の青い空にひとひらの白い雲がゆっくりと流れていく。
男は、静かに両腕を差し出し、男の胸に崩れ落ちそうな少女の両肩を掴んで、少女に向き直る。

「泣くな」

男にも言いたいこと、伝えたいことは山のようにある。しかし、今は、何もいうことができない。
この少女とは生きる世界が違う。ともに歩む未来が男には見えない。
そして、男には使命がある。生死をかけた闘いに身を投じなければならない運命と、少女を想うこころとの葛藤が
男の心をかき乱す。葛藤は、小刻みな両腕の震えとともに少女の両肩に伝わる。

少女はうつむき、男の胸の中に倒れ込みたい衝動をおさえつつ、ゆっくりと男の気持ちを考え、自分の気持ちを整理する。
男は、少女の思考を読み取るように、だまって、少女の長い黒髪を見つめる。
『拒絶されても、あなたを好きでいることは辞められない。たとえ、それがあなたの重荷になるとしても。
 わたしは、何も望まない。何も期待しない。ただ、好きで、ただ、わたしが勝手に・・・・』
そんな思いが少女の想いが伝わる。少女がしずかに口をひらく。

「ごめんなさい。それでも、わたしは、待ち続けます」

再び顔をあげた少女の確固たる決意を宿した言葉に、少女を見つめる男の表情がフッと緩む。

「お前らしいな」

男は、クスリと笑みを浮かべて、少女の頭を片手でポンと叩き、少女の長い髪をクシャリとかき混ぜる。
少女の潤んだ瞳から、一筋の涙が流れ落ちる。
男は、少女から視線を外し、背を向けて歩き出す。

少女はそのまま立ち尽くし、男の姿が木々の向こうへと消えるまで、その後ろ姿を見送る。
少女の瞳から溢れた涙がいく筋も頬を伝い、白い顎からしたたり落ちる。

「カーット!オッケーです。」

 ◇ ◇ ◇


今日は、テレビドラマの収録。
監督からオーケーがでると、その場一同から緊張が解け、喚起の声があがる。
マヤもひとつ大きく息を吐き、表情を緩める。

「いやー、良かったよ、北島さん。さすがだよ。俺、思わず泣けちゃった。」
「そうですか?よかったー」

監督の言葉に、マヤは、大げさに手を叩いて、ニッコリと満面の笑みをたたえる。
マネージャーの清水と、ADの住田がすかさず折りたたみチェアとパラソル付きのテーブルをマヤの隣に配置する。
マヤは、簡単に礼をいい、腰を下ろし、目の前のテーブルに置かれた箱に視線を送る。

「うわー、ケーキだ!」

喜ぶマヤの頭をポンポンと叩きながら、三つ揃いのスーツを上品に着こなした男がマヤに声をかける。

「やあ、チビちゃん、今日も絶好調のようだな」
「は、速水社長!今日は、どうしたんですか?」

「この公園は社から近いからな。うちの看板女優の主演ドラマロケの陣中見舞いというわけだ」
「ふふふ、そういうことですか。ケーキは、皆さんへ?」

おかしそうに微笑むマヤに、すこしバツが悪そうに真澄が答える。

「そうだ。俺からの差し入れだ」
「お仕事の方は、大丈夫なんですか?」

「ああ、優秀な部下が揃っているからな。社長なんてものは、案外、暇なものなんだ」
「いつも忙しい社長さんが、暇だなんて、嘘ばっかり。また、水城さんに怒られますよ」

真澄はクククと笑うと、椅子をもう1脚、ADに持って来させ、マヤの隣に腰をおろす。

「まあ、そういうな、たまには、俺にも息抜きは必要だ。」
「それは、おつかれさまです。それじゃあ、あまり時間はありませんけど、ゆっくりしていってください。」

マヤは、そういうと、真澄の差し出したフォークを受取り、目の前に置かれたケーキに視線を向ける。
真澄は、清水に渡されたコーヒーをすすりながら、美味しそうにケーキをパクつくマヤを見つめる。

「どうだ?うまいか?」
「はい、おいしいです。ありがとうございます」
「それは良かった。チビちゃんがうまそうにモノを食べるのを見るのは楽しいな」

優しく微笑み、マヤの食べる姿を見つめ続ける真澄に、
マヤは、ケーキをほおばりながら、身体をよせて小声でささやく。

「今日は、一口くれとはいわないんですか?」
「いったら、くれるのか?」
「あげません」

マヤは間髪入れず、そう答え、更にケーキを一欠片、口に運びいれてから、もう一度問う。

「でも、ほしいんじゃないですか?」
「いや、甘いからな。君が全部食べたまえ」

真澄は微妙に頬を赤くしつつも、表情を変えずに、横を向く。
マヤは、真澄の照れた仕草におかしそうにわらいながら、
一口分のケーキをフォークに刺し、真澄の口元に差し出す。
真澄は、横をむいたまま、口を小さく、開く。

「みんなが見ているから、やっぱり、やめます。あっ!」

マヤはフォークを持った手を自分の口元に引き戻し、くわえようとした刹那、
真澄はマヤのフォークを持つ腕を掴んで引き寄せ、ケーキを自分の口へ入れる。

「クククッ、ありがとう。しかし、甘いな」

モグモグとケーキを味わって、甘味で充満する口中にコーヒーを流し込む真澄に、
マヤは目を三角にして、頬を膨らませ、口を尖らせて、涙目で、責め立てる。

「も、もう!マーくん、ヒドイ!ケーキは甘いに決まってるんだから、甘いの嫌なら、食べなきゃいいじゃないですか!」
「クククッ、何をいっているんだ。君がいいだしたことじゃないか。
 それに、君があまりに美味しそうに食べるんでな。大丈夫だ、君の分のケーキは、まだある」

そういって、真澄は、テーブルの上の箱を傾け、中身を見せる

「もうひとつあるなら、はじめから、そっちを食べればいいじゃないですか!」
「いや、俺はひとつは食べきれない。君はケーキが好きだからな。君用にと思って3つ余分に買ってきた」

「うわぁ!本当ですか!」

マヤの顔がパッと輝く。
ケーキが一段落したところで、真澄が話しかける。

「それにしても、チビちゃんも、ドラマ撮影にすっかり順応したようだな」
「そうですか?細切れの撮影は、もちろん、それはそれで、楽しいところもあるけど、
 やっぱり難しいです。でも、慣れなきゃって、頑張ってますから」

「そうか?オーケーが出て、一瞬でマヤの表情に戻るところは、随分、慣れたものだと関心したんだがな」
「あ、あの時は、マーくんが来たのに気づいて・・・蘭子の仮面、外れそうになった瞬間にオッケーがでたから、
 だから、ほっとして・・・」

「そうなのか?君にしては、珍しいな。俺に見られるのは、そんなに動揺することだったのか?」
「ううん、違うの。あのね、さっきの蘭子は、本当は『待ってて欲しい』って、真庭君に言って欲しいの。
 なのに、真庭君はそうは言ってくれなくって、拒絶するの。
 ううん、それは、蘭子も半分わかってて、『迷惑だ』って、ハッキリ言って欲しいとも思ってたんだけど、
 でも、蘭子は真庭君のこころを信じてるから、でも、蘭子は、真庭君の立場もわかってて、
 それに真庭君が蘭子のことを考えて、拒絶するんだって、真庭君の気持ちが分かるから。
 ハッキリと拒絶の言葉をいってくれたのは望んでたはずで、その言葉を聞いて、
 蘭子はますます真庭君のこと好きになって、それで諦められるかもしれないと思うんだけど、
 やっぱり、好きなのは辞められないから、それなら、って、わざと、真庭君の負担になるようなこと言うの。
 でも、それも、真庭君はお見通しで、それでもいいよって、言葉では言わないけど、許してくれるの。
 それで、蘭子は、真庭君が自分のことわかってるはずって、信じてるから、だまって見送るの。
 でも、でもね、やっぱり、本当は、ちゃんと言葉で言って欲しいの。『待っててくれ』って、
 『必ず迎えにくるから』って」

マヤは、何かに取り付かれた様に、今の役どころの心情をまくしたてる。

「そんな風に思ってら、実際に、そう言ってくれた人が出て来ちゃうんだもん」
「なるほど、それは悪かった。今度から気をつけよう」

「そうですよ。特に、身に覚えがあるようなシーンの撮りの時は、気をつけてくださいね」
「すまなかったな。君にも、そんな思いをさせていたってことか」

「ううん、マーくんは、あの時、ちゃんと『待っててくれ』って、言ってくれたから」
「しかし、その後、君のこころをかき乱す言動もあったな。すまなかった」

「ふふふ、もう過ぎたことです。今は、わかってますから。マーくんも真庭君と同じ様に照れ屋さんで、言葉が足りない人なんだって。
 だから、わたしも、蘭子みたいに、信じなられなきゃいけなかったんだなって、反省してます。ていうか、蘭子も不安に揺れ動くんですけどね」

「ククク、なるほど、そのあたりが、今回のオファーを受けた理由なんだな?」
「はい。あ、でも、真庭君はマーくんに似てるところもあるけど、全然違うんですよ。特に、わたしが、蘭子はいいなって思うのは、
 真庭君は蘭子の気持ちがちゃんと読み取れるのに、マーくんはわたしの気持ちにまったく気がつかなかったってところです」

「俺に君の思考を読み取れというのか?」
「いいえ、それは無理だとわかってるけど、でも、大丈夫です」

「それは、どういうことだ?」
「わたしはちゃんと言葉にするのが大事だとわかったから、マーくんには言いたいこというってことです。
 それに、わたしは蘭子じゃありませんから、相手になにも求めないなんて出来そうにありません。
 そのかわり、わたしは、真庭君みたいに、マーくんのこころを読み取ろうと頑張ってます。
 マーくんは真庭君と同じく、照れ屋さんで言葉たらずだから・・・」

絶句する真澄に、マヤは笑みをうかべ、小声でつづける。

「今だって、マーくんの心の中の台詞が聞こえて来てますよ。『完敗だ』って。
 あ、それから、今度から、隠れてこっそり見に来ようと思ったって、ダメですよ。
 それでなくてもマーくんは背が高いんですし、とにかく何やってても目立っちゃうんですから」

マヤは、周囲に視線を向ける。真澄の差し入れのケーキを食べ終えた出演者、スタッフ一同が、
大都の鬼社長とその最愛の若妻のいつ果てるともないやりとりを固唾をのんで見守っている。
さすがに、撮影の合間の休憩時間としては、長すぎる時間が経過している。

「ところで、速水社長、いくらなんでも、そろそろ仕事に戻らないとマズくないですか?」
「い、いや、俺なら、まだ大丈夫だが」

「わたしは、そろそろ仕事に戻らないとマズいんです。次のシーンの撮影がありますから。
 あ、監督、すいませーん、そろそろ次のシーンですよね?」
「い、いえ、速水社長の御用が済んでからでも、住田くん、まだ、時間はあるよな?」

監督は、真澄の顔色をうかがいつつ、隣のADに時間を確認する。

「いえ、監督、そろそろ、もう、だいぶ押し気味で・・・」
「ほら、やっぱり、そうですよね?」

マヤは、椅子から立ち上がり、真澄にむかって頭を下げる。

「速水社長、お忙しいところ、激励ありがとうございました。ケーキ美味しかったです」

大きな声で真澄に礼をいったあと、小声で囁く

「マーくん、いつまでも撮影の邪魔してちゃダメですよ。ほら、そんな怖い顔しないの!」

監督を睨みつける真澄を後ろ手にはたきながら、今度は、縮みあがる監督に向いて、マヤが頭を下げる。

「すいません、監督、いつもご迷惑ばかりかけまして申し訳ありません。速水社長の用は済みましたから」
「そうだな、では、チビちゃん、またな。皆も、頑張ってくれたまえ」

真澄は、スクッと立ち上がり、マヤの頭をポンポンと叩くと、
一同のものに目線を送りながら手を掲げ、颯爽とその場を後にした。
マヤはクスリと笑いながら、公園の脇にとめたリムジンに乗り込む真澄を見送る。

「それじゃあ、次、シーン21−2です。北島さん、お願いします」

 ◆ ◆ ◆

夜の公園でのシーンを撮り終え、22時をまわったころ、マヤはマネージャーの清水とともに会社に向かう。

「すいません。送って貰っちゃって」
「いいのよ。それに、こんな夜道、マヤちゃんをひとりで歩かせたら、社長になんていわれるか分からないもの」

「そうなのよね。速水社長は、いつまでたっても、わたしを子供扱いするから。今日も、ずっと『チビちゃん』だったし」
「それだけ、大事にされてるってことよ。それに、マヤちゃん、最近、そう呼ばれるの嫌がらなくなったみたいに見えるけど」

「はい。いくら言っても辞めてくれないから、もう、あきらめました」
「それで、その仕返しに、『マーくん』って呼ぶことにしたってことかしら?」

「あははは、仕返しってわけじゃないんですけど、聞こえてました?」
「そりゃあ、バッチリ聞こえてるわよ。もしかして、隠してるつもりだった?」

「いえ、わたしは隠してないんですけど。一応、皆の前で大声ではいわないようにしてるんですけどね」
「そうね、社長は、誰も気づいてないって、思いたいかもしれないわね」

「そういうとこ、男の人って、なんだか、可愛いなって思いませんか?」
「もう、マヤちゃんも言ってくれるわね。それで、『マーくん』なのね?なんだか、もう、ごちそうさまって感じね」
「あはは、ごめんなさい」

「それじゃ、ここでいいかしらね。マヤちゃん、おつかれさまでした。明日のオフは、ゆっくり休んでね」
「はい。清水さんも、お疲れさまでした。送ってくれてありがとうございます」

既に、ほとんどの灯の消えたビルの玄関ロビーで清水と分かれ、マヤは、役員専用エレベーターを使い最上階へ向かう。
マヤは、社長室の隣の秘書室の扉を軽くノックし、扉をあけて声をかける。

「こんばんわ、水城さん」

水城は、待っていたかのように夜の訪問者にニッコリと微笑みかける。

「あら、マヤちゃん。撮影、終わったの?」
「あ、はい。さっき、終わって、清水さんに送ってもらいました。今日はすいませんでした」

「あら、別に、いいのよ。あんなに近くでロケされちゃったら、もうどうしょうもないわ」
「本当にすいません。こんなに遅くまで残業させちゃって。水城さんにご迷惑かけないように、ちゃんと言っておきますから」

「うふふ、マヤちゃんに言ってもらったら、ちょっとは、効き目あるかしらね?
 でも、今日は本当に気にしなくてもいいのよ。あのくらいの外出なら、それほど仕事には響かないし、
 マヤちゃんの顔を見て帰ってきたあとは、格段に仕事の能率があがるのよ」
「本当ですか?あ、でも、結局、こんな遅くまで、残業で。すいません」

「いいのよ。私もマヤちゃんの顔、見てから帰ろうと思ってたから。それで、今日の撮影はどうだったの?」
「あ、はい。公園で朝から夜まで、いろんなシーンを撮りました。全然繋がってない場面ばっかりだったので、大変でした」

「そう。やっぱり、ドラマは苦手?」
「いえ、楽しいです。今まで泣いてたのに、2ヶ月後にはちゃんと立ち直ってたり、
 その後は、急に1年前に戻って、なんにも知らずに普通に会話してたり、
 心情の時間変化って、舞台の稽古でもやってますし、最初は、掴むまでは戸惑いますけど、
 その役をきちんと掴めた後は、自然にできるようになるんです。
 それに、逆に、同じ人なのに、その時間の流れの中でこんなに違うんだって、
 あらためて感じて、面白いんです。」

「そう。それなら良かった。そろそろ、『マーくん』がイライラしているころよ。社長の怒りが怖いから、そろそろ、私は帰るわ。
 あとは社長も恐れる怖い怖い奥様にお任せするわ」

「うふふっ、あとは、お任せ下さい。水城さん、本日は、遅くまでありがとうございました」
「ふふふっ、マヤちゃんもね、お疲れさま。ドラマ、楽しみにしてるわ」

「あ、水城さん、すいません。ひとつ、お聞きしていいですか?」
「ケーキのことなら、真澄様がポケットマネーでだしたみたいよ。経費の請求はないわよ」

「やっぱり、そうでしたか・・・」

水城はクスリと笑いながら、マヤを見やり、秘書室の灯を落として、エレベーターへ向かう。
マヤは、社長室のドアをそっとあけ、顔だけ隙間から覗き込ませる。

「えへへ、マーくん、待った?」
「ああ、水城君と楽しそうに話していたようだな」

「もう!そんなに怖い顔しないでくださいよ。ごめんなさい。で、でも、そんなに長話じゃなかったでしょ?」
「ああ、そうだったかな」

「もう!とにかく、まずは、水城さんに謝んなきゃって思ったから」
「なんで、君が水城君にあやまるんだ?」

「だって、マーくんがさぼってる間は、水城さんに仕事のしわ寄せがいくでしょ?」
「君がそんなことを気にする必要はない」

「そんな言い方しなくてもいいじゃない。必要はないかもしれないけど、気になるんだから、仕方ないじゃないですか!
 だいたい、マーくんが、なにかと理由をつけては、わたしに会いに、仕事抜け出してばかりいるからじゃないですか!
 水城さんにばかり仕事押し付けて、気の毒ですよ。副社長さんにだって、そうです。
 今週だけで、なんど現場にきました?その間、仕事は誰がやってたんですか?誰が、スケジュール調整してくれたんですか?
 わたしだって、見に来てくれるのは嬉しいけど、現場の皆さんには気を使うし、ほっといたら、いつまでも帰らないし、
 会社の方がどうなってるか、気になってしかたないし、マーくんは無責任に仕事を放り出したりしてないと信じたいんだけど、
 水城さんに聞くかぎり、まったく支障がないこともなさそうだし・・・
 だいたい、あんなに気軽に差し入れ沢山かって、我が家の家計がどうなってるか把握してますか?」

「わかった。わかった。君には、かなわない。すまない。以後、気をつける」
「気をつけるんですか?何に?」

「うっ・・・その・・・もう少し・・・会いにいくのを我慢する」
「はい。それでいいです。わたしだって、我慢してるんですから、マーくんも我慢してください」

「それから、その浪費癖もです。気軽にポケットマネーで大盤振る舞いしないでください。
 それでなくても、うちは使用人が多くて、固定費がもの凄いんですから。
 外食も多いし・・・いくら稼いでいるとはいっても、自転車操業もいいところですよ。
 切り詰めるところは、ちゃんと、切り詰めてくれなきゃダメです。
 あ、だからって、プライベートな支出を会社の経費で落とそうなんてことして誤摩化してもダメですからね。
 水城さんに聞いたらすぐわかるんですから」
「うっ、それも分かった。以後、気をつける。すまない」

マヤは、腰に手をおき、ふぅーと一息、あきれた様にため息をついてから、ニッコリと顔を上げる。

「ところで、ねぇ、マーくん、わたし、お腹ぺっこぺこなんだけど。帰りに、ラーメンよっていかない?」
「クククッ、寝る前に食うと太るぞ」

「マーくんがね。わたしは大丈夫。ちゃんと毎朝、トレーニングしてるから」
「うっ、俺だって、トレーニング・・・したいんだが、ここのところは、ちょっと・・・忙しくてな」

「社長なんてものは、案外、暇なものなんじゃなかったんですか?」
「マヤ、すまん。謝る。だから、そろそろ許してくれ」

「ふふふふ、いいですよ、許してあげます。じゃあ、ラーメン、一口あげますね。その代わり、大盛り頼みます」

水城にマヤ、仕事面とプライベート面、しっかり管理されてしまう真澄であった。
つくづく、女運がいいというのか、悪いというのか。

おしまい?

あとがき えと、筆者です。マスマヤ最終回(のつもりです) ガラスの仮面の二次創作って、かなりな量があるんですけど(とても、読んでられませんが) どうも、速水さんがカッコ良すぎて、違和感あるんですよね。(批判じゃありません) ・・・あるいは、あまりにヘタレで、情けなすぎるか(^^; ていうか、マヤちゃんがもう少し、大人になってもいいかなって、 要は、あれです。筆者の希望(妄想というのが正しいのか?)ですかね、母親のような女性に守られたいっていうか・・・ うちのレイちゃんだって、そんな感じですもんね(^^; 男の視点で、都合のいいオンナを作り上げてるってことなのかなぁ?とか、思いますが、 こんなマヤちゃん、いいなぁ〜って、思うのですよ。(笑) あ、ガラスの仮面のついでに、読み返してみた昔の少女マンガがあるんですが、なんだか分かりますか?(って?) 冒頭の・・・ちょっと、ちがうんだけどね(笑) というわけで、このページ、概ね、そんな感じですが、10年以上放置しておいて、コレかよって感じですが、 近々、レイが好き!正編も、つづき書きます。 ていうか、あれって、つづきものじゃないですけどね。読み切り短編集ですから(笑) それでは もし、あなたがこの話を気に入ってくれて、 そして、もしかして、他の作品も読んで下さるとして、 また、次回、お会いしましょう。 2015年6月 某所にて

つづきを読むINDEXへ戻る
御意見、御感想はこちら