レイが好き!
第31話
信じる
「シンジ、そろそろ、起きた方がいいんじゃない?」
「・・・・うん」
「シンジ、今日も、休むの?」
「・・・・うん」
「シンジ、アタシ、研究所行くからね」
「・・・・うん」
「シンジ、いつまでも、そんなんで、いいと思ってるの?」
「・・・・うん」
「シンジ、いってくるからね」
「・・・・うん」
アスカは、僕を呆れたように見下ろしながら、声をかける。アスカは、怒ったよ
うに何かをいおうとして、でも、何もいわずに、ただ、悲しげな表情をして、ひ
とり、玄関へ向かう。
「いってきます」
僕は、アスカが出かけるのを、ベッドの上に仰向けになって聞いている。
「いつもの天井か・・・・」
ぼっと、いつものように、天井を眺め、そして、壁にかかったレイに視線を落と
す。
あれが、レイなんだな・・・
レイって、一体、なんだったんだろう?・・・僕にとって・・・
そんなことを考えながら、僕は、再び天井を見つめる。
白い天井。数十センチ毎に、ラインが入ってて、中央には、四角い白い蛍光燈が
あって・・・・
「毎日、見てて、なんで飽きないのかな?」
レイを見るかわりなのかもしれないな・・・・
僕は、ごろっと、寝返りをうって、横を向く。
ただ、なんとなく、今日も過ぎていく・・・
◇ ◇ ◇
レイがいなくなって、二週間。
父さんは、結局、僕の前には現れなかった。父さんの今回の帰国の目的は、僕で
はなかったってことで・・・
僕は、やっぱり、父さんにとって、どうでもいいのかな・・・
「でも、それなら・・・なぜ?」
「父さんにとって、レイは、いったい?・・・・」
なにもかもが、謎のまま。
ただ、レイがいなくなっただけ。
「レイは・・・・」
いったい、どういう気持ちで、父さんに従ったのだろう?
まさか、納得して。父さんの説得で・・・・
でも、僕のためを思ってのことだとしたら?
そう、父さんは、説得したのかもしれない。
もしかしたら、アスカのいうように、こんな僕に嫌気がさして・・・・
そう、父さんは、説得したのかもしれない。
「そんなはずは・・・」
僕は、レイを信じ・・・たい・・・だけ?
でも、僕が知ってるレイなら、たとえどんなことがあったって・・・
僕の知ってるレイ?
僕は、いったい、レイのなにを知っているのだろう?僕にとって、都合のいいレ
イを思い浮かべることはできる。
それは、僕が育てたあげて、教育してきたのかもしれない・・・じゃあ、いった
い、今、レイが何を思ってるか・・・・
「僕に分かるのか?」
父さんにあって、説得された後のレイを・・・それでも、レイは、あのレイのま
ま・・・だと、信じ・・・たい・・・だけなのだろうか?やっぱり・・・
人が・・・人を信じるって・・・・いったい、どういうことなんだろう?
「レイは、どういう気持ちで・・・・」
でも・・・もしかしたら、単に拘束されて・・・逃げ出せないようにされて・・・
「いくら父さんでも・・・・そこまで・・・」
いくら父さんでも・・・まさか・・・
「レイ・・・・・」
僕の助けを待ってるなんて、有り得るのかな?
「レイ・・・・・」
でも、僕が迎えにいくのを待ってる・・・と、僕は思いたい。そうだったらいい
なと、思ってる。それなのに、なんで、僕は、ここにいるのかな?
それって、信じてるって、いえる・・・のかな?
人を信じるって・・・なんだろう?
「それに・・・」
僕は、仰向けに寝返りをうって、天井を見つめる。
「僕は、レイが好きなのかな?」
好き・・・なはず・・・と、思ってる。
「じゃあ、レイは?」
僕が好き・・・なはず・・・と、思ってる。
でも、レイはいなくなった・・・・
「待ってるのかな?・・・僕を?」
ただ、なんとなく、今日も過ぎていく・・・
◇ ◇ ◇
ピンポーン
玄関のチャイムがなる。
ピンポーン、ピンポーン
僕は、ベッドの上で、仰向けになって、チャイムの音を聞いている。
「誰かが来た・・・・・」
ピンポーン、ピンポーン、ピンポーン
玄関のチャイムがなっている。
ただ、なんとなく、今日も過ぎていく・・・
◇ ◇ ◇
誰も、なにもしてくれない。
・・・そんなのあたりまえだけど
僕は、なにを期待しているのかな?
「レイ・・・」
ただ、なんとなく、今日も過ぎていく・・・
◇ ◇ ◇
「いつもの天井・・・」
「人を信じること・・・」
「・・・幸せってなんだろう?」
幸せって・・・・レイにとっての幸せ。僕にとっての幸せ。みんなにとっての幸
せ・・・幸せって一体?・・・・
僕は、レイといられれば、幸せだ・・・と、今だって、思ってる。レイだって、
僕といるのが、幸せ・・・な、はず・・・と、僕は思って・・・いたい。
「でも・・・・」
実際、このまんま、レイしか見えなくて・・・いや、僕のことじゃなくて・・・
世の中のことをなんにも知らずに、僕にしか関心がなくて、そんな風に、育って
いくレイは・・・このまんまで・・・
でも、レイは・・・
でも、レイは・・・
レイにとっての幸せ・・・・
僕は・・・・レイが現れて、変わったと思う。少しは・・・強くなったと、思っ
てる。でも・・・・そうだったのかな?
レイの前で、いいかっこしたかったから・・・ただ、それだけで・・・・
実際の僕は・・・いつもレイだけを見つめて・・・成績も落ちていったし・・・
周りを・・・社会というものを見ようとは、なにも・・・・
でも、僕は、レイのために・・・
でも、レイは、僕のために・・・・姿を消した・・・のかな?
レイがいなくなって、僕は・・・・やっぱり、こんなに弱くて・・・・ひとりじ
ゃ、なにも、出来なくて・・・・
「・・・・恐い」
そう、恐い・・・・すべてが恐い。
「レイ・・・・」
「・・・・待ってるのかな?」
・・・・いつもの天井・・・・
ただ、なんとなく、今日も過ぎていく・・・
つづく
あとがき
おいおい!・・・・筆者です。
今回は、これで、”つづく”なのです。
だいぶ、短いですが、こんな調子でシンジ君の毎日なんて書いてたら、
こっちまで、落ち込んできちゃうじゃないですか!
いやぁ、はやく、アスカさん、なんとかしてやってくださいよ。
っていうか、なんとか、なるんでしょうか?これ?
と、いうわけで、今回が、「レイが好き!」どん底編ということに
してある訳で、次回以降、どんどん上昇気流にのって・・・
んで・・・・そのあとは、内緒(にやり)
(・・・というか、その、「レイが好き!」ですからね)
しかし、このペースで、書いてると・・・困ったねぇ。
困った困った困った困った。
うーん、でも、もう始めちゃったもんなぁ・・・
リセットするなら、もうちょっと、手前から、リセットしたいと思うしなぁ・・
というか、せめて、7話ぐらいから、書き直したいですねぇ(をいをい!)
で、書いちゃったもんはもう、しかたないっすから、このまま進むんです。
でも、やっぱ、こういう全然書けない時期は、
ちゃんと、一話完結にすべきだなぁ・・・と、つくづく思うよ。
だって、こういう形で、「つづく」なんて打っちゃうと、
筆者自身、「あぁ、つづき、ちゃんと書かなきゃ」って、思い悩んでしまう。
と、いうわけで・・・
「あぁ、つづき、ちゃんと書かなきゃ・・・・」
あ、でも、いちなり、レイが帰ってきて、なにもかも謎のまま、
なぜか、あっさり、元どおりっていう線も・・・・ないかなぁ?
ちなみに、今回のシンジ君の心の動きってのは・・・
やっぱ、読み取れないよねぇ?
まあ、宣言通り、好き勝手書いてますから、
そゆことで、よろしく
それでは、
もし、あなたがこの話を気に入ってくれて、(んな人、いるんだろか?(A^-^;;)
そして、もしかして、つづきを読んで下さるとして、
また、次回、お会いしましょう。
つづきを読む/
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