レイが好き! 第35話 違和感

「あのね、シンジ」 「ん?なに?レイ」 「ううん、やっぱり、いいわ」 「どうしたっていうのさ?気になるじゃない、そんな風に言われたら」 「うん・・・でも、やっぱり、いいの。ごめん、シンジ」 朝、いつもの様に、僕の腕にそっと腕を絡めて歩きながら、レイは少しうつむく 様に下を向いて、黙り込んだ後、何か思い切ったように僕の顔を見て、謝った。 レイが何をいいたかったのか、僕はなんとなくそれを考えながら、レイに腕を 組まれて、駅までの道を歩いた。 「あのさ、レイ」 駅の改札をくぐって、ホームで電車を待ちながら、僕はレイに話し掛けた。 レイは、そっと顔を上げて、僕の顔を見つめる。 「うん・・・その・・・」 でも、やっぱりレイのいつもの紅い瞳に見つめられると僕は・・・ 「どうしたの?シンジ」 「うん・・・ごめん」 「・・・そう」 どことなくレイは寂しげにそう肯いて、ホームへ滑り込んできた電車へ僕とともに 乗り込む。 「・・・・」 僕はいつもの様にレイと向かい合って、電車にゆられる。 電車はいつもの様に、学校へと僕達を運ぶ。 ずっと考えていること・・・あの夢は・・・ 僕は、あれから、ずっと考えている。 あの夢は、やっぱり、僕の不安そのものだから。 そして、夢の中の僕は・・・ あれが本当の僕なんだな、と。 なにもできない、なにもすることのない自分。 もしも、レイがいなくなったら、僕にはすべきことがなくなる。 ただ、ひたすら部屋に閉じこもって、天井を見つめるだけだった自分。 話し掛けれられても、返事もできず、自分からなにかはじめるでもなく、 ただ、レイだけが僕を救ってくれるような気がして、レイを求めるだけ。 あの時、レイを探し出して、僕はどうするつもりだったんだろう? そして、今、あれが夢だった、この真実の世界で、僕は何を・・・ レイが心配そうに僕の顔を見上げてる。 レイはどこへも行かない。 いつまでも僕のそばにいてくれる。 だから? 僕はいったい何をしたいんだ? 寂しかっただけか? だた、レイに甘えたかっただけか? それで、いいのか? いいわけないんだ!いいわけがないじゃないか! 僕はクッと唇をかみしめ、そして、レイを見つめる。 「ごめん、レイ」 そっと、僕はレイに謝る。 「でも、僕、頑張るから」 「うん」 レイは、そう肯くと、いつものやさしい微笑みを僕に向ける。 僕は、その聖母のような微笑みを、自己嫌悪を抱きながら見つめる。 その自己嫌悪すら忘れさせてくれるレイの微笑みだから この女性(ひと)の微笑みだから・・・   ◇ ◇ ◇  ガラガラッ 「起立、礼、着席」 先生に伴われて入ってきた少女に少しどよめきながらも、日直の掛け声による 朝の型通りの挨拶がすむと、早速、転校生の紹介がはじまる。 「はじめまして、霧島マナです。よろしく」 色白の肌に栗色の長い髪のその少女・・・霧島は、そう自己紹介をすると、 ペコリとお辞儀をした。明るく、ハキハキとした印象が伝わってくる。 そして、再び顔をあげると、にこっと、誰に向けるでもなく、笑みを作った。 「はいはい、いいから、男子、静かにしなさい!」 転校してきたその美少女にどよめく男子陣をたしなめるように、そういって、 ミサトさんは、教室中ににらみを効かす。 「霧島さんは、家庭の事情で第二東京市からこっちに引っ越してきたの。 この辺のことは、右も左もわかんないそうだから、みんな親切に、なんでも 教えてあげんのよ」 再び男子を中心にざわざわと声があがる。 「ほらほら、あんた達にはいってないの。そうね・・・洞木さん、いろいろ面倒 みてあげてね」 「はい、先生、わかってます」 洞木さんは、立ち上がってそういうと、ジロリと騒いでいる男子を睨む。 「洞木さん、よろしくね」 霧島は、洞木さんにそういうと、クスッと笑みを浮かべる。 「こっちこそね」 洞木さんは、ウインクひとつして、それに答える。 「それじゃあ、そうね・・・席は、ええと、シンジ君のとなりがあいてるわね」 「あ、はい」 確かに僕の隣の子が先週転校していったばかりで、空席であったのだが、 このとき、僕は、突然、名前を呼ばれたことにあせって、立ち上がってしまった。 「あれぇ?どうしたのかな?シンちゃん、なにあせってるのかなぁ?」 ミサトさんは、にやりと笑いながら、そう指摘する。僕は、慌てて着席すると 机に視線を落として、真っ赤になってうつむいた。 先生にうながされて、霧島は僕のとなりへ歩いてくる。 僕の隣の席に座ると、にこっと僕の方を向いて僕に挨拶する。 「シンジ君っていうの?よろしくね」 「う、うん。僕こそ・・その、よろしく」 「うふふっ、シンジ君って可愛いわね」 「え?・・う、うん・・・ありがと」 意味不明に僕はそれに礼をいって、真っ赤にうつむく。 「うふふふっ」   ◇ ◇ ◇ 「おい、シンジ」 「なに?ケンスケ」 次の休み時間になると、休み時間になるのを待っていたように ケンスケが話し掛けてきた。 「いいのかよ。お前」 「なにがさ?」 「綾波のことだよ」 「え?」 「ばか、お前、霧島に話し掛けられて赤くなったりして、マズイと思わないのか?」 「マズイ?」 「あったりまえじゃないか、仮にも自分の恋人がだよ。他の女に声かけられて、 それで、照れてたりすんのを見て、どう思うか考えてみろよ」 「・・・」 そういえば・・・レイは? 僕は、レイの席を見る。 レイは、自分の席にはいなかった。 「レイ・・・どこいったのかな?」 「はぁ〜・・・お前、それ、マジでヤバイぞ」 ケンスケが呆れたような顔をして、ため息をついたあと、真剣な顔をして 僕を睨みつける。 「いっとくけどな。綾波を泣かせるようなことがあったら、俺はお前を許さない からな」 「あ、ああ、わかってるよ。そんなの。そんなわけないじゃないか。 なにいってるんだよ。ケンスケ」 「分かってるなら、いいんだ。ただな」 「ただ?」 「あの、霧島っていう転校生、なんだか・・・いや、いいんだけどさ」 「なんだよ。言いかけてやめるなよ」 「いや、俺が思うだけだから。ほら、授業はじまるぜ。綾波も戻ってきたし。 じゃ、また後でな」 「あ、ああ」 ケンスケが前を向き直って、次の授業の準備をはじめると、入れ代わるように、 レイが戻ってきて、席についた。 「おかえり、レイ。どこいってたの?」 「なにいってるのよ。シンジ、マナに・・霧島さんに校舎を案内しにいくって、 ヒカリと、さっき、言ったじゃない」 「そ、そうだっけ?」 「もう、シンジったら、マナに話し掛けられて、デレデレしちゃって! わたしの話、聞いてなかったんでしょ!」 「え?そ、そんなぁ・・・だって・・・レイ、僕になんか言ってた?ほんとに?」 「あぁ!!ホントに聞いてなかったんだ!」 「うふふ、レイ、大丈夫よ。あたし、とったりしないから」 「マナがそうでもぉ・・・」 「大丈夫よ。ねっ、シンジ君っ」 「え?」 「お友達として、仲良くしてくれてるんだもんね。さっきは、初対面だったから、 ちょっと照れただけだよね?」 「う、うん。そうだね。うん。そうだよ。レイ、何、焼き餅なんか焼いてるのさ」 「だって、シンジのさっきの態度・・・」 レイは、怒ったように、頬をぷぅっと膨らませる。 「ふふふっ、レイって、焼き餅なのね。だーじょうぶだってばぁ。 そんなに膨れてるとホントに嫌われちゃうわよ」 「・・・・」 霧島さんにそう言われて、レイは頬を膨らましたまま、黙って俯く。 僕は・・・ 「あ、あの・・・僕、好きだから・・・」 「え?」 僕が呟くように口を挟むと、霧島さんは聞き返すように僕の方を向いた。 「ん、んん、なんでもない」 僕は、少し頬を赤く染めながら慌てて机の中から次の授業の教科書を探し出す。 「ふーん。だってさ、いいわね、レイ」 そんな僕をじっと見たあと、霧島さんはレイの方を振り返って、にっこりと 笑みを向けた。レイの膨らんでいた頬は少ししぼんだが、今度は少し、 ピンク色にその色を変えて、呟くようにいう。 「・・・いっつも、そうやって、誤魔化すんだから・・・」 「さっ、もう授業だから、準備しなきゃ!」 少しレイの機嫌が直ったのに安心したのか、霧島さんはにっこりと笑いながら 元気良く、そういって席へ戻った。 レイも僕のとなりの席へつく。 「あの・・・・」 「なに?」 「もしかして、まだ、怒ってる?」 「少し」 「そ、そう」 「そう」 レイはつれなくそう答えながら、机の上に教科書を並べると背筋を伸ばして、 前をまっすぐに向く。 「あの・・・・」 「なに?」 僕が話しかけても、真っ直ぐ前を向いたまま、静かにそう応えるだけ。 「好きだから、レイが」 「うん。ありがと」 「あの・・・・怒ってるの?」 「さあ?」 レイは怒りに肩を震わすように、震えながらそう答える。 あの・・・どうしたの・・・か・・な?・・レイ? 僕は、おそるおそるレイを覗き込む。 「ククククッ、あはははは、もうダメ!ごめんなさいっ!シンジ」 僕が覗き込んだとたん、いきなり笑い出して、そして、突然、レイは謝った。 謝った後も、堪えきれない様にレイは、クスクスと笑いつづける。 「・・・・や・・・ら・・・れ・・・た」 「ご・・・ごめん・・・シンジ・・・でも・・・ごめん」 僕は、唖然として、レイを見つめる。 この女性(ひと)が・・・僕の好きな人? 僕は、呆れ半分、ふぅとため息をつく。 「・・・・ひどいオンナ」
つづく

あとがき えと、筆者なのですが・・・ ご無沙汰しております(ぺこり) 実は、一応、クリスマスの前日ぐらいに話を書き出してたんですけどね。 その・・クリスマスパーティーの話だったんですけど・・・ 書いてる途中で、その・・・訃報が入りましてね。 それどころじゃなくなって・・・で、年があけまして・・・いやぁ(^^; どうしましょ?この中途半端な、クリスマスパーティー(--; とゆわけで、一部の方には、年賀状の返事にくっつけてたりして(爆) さて、で、いろいろと忙しくなかなか書けなかったというのは、 こっちの事情なので、皆さんにはどうでもいいでしょうけど、 まあ、とにかく久々のレイが好き!で、困ったもんです(笑) いやぁ、遂に新しいキャラが登場しましたねぇ・・ ゲンドウ氏より早く登場するとは想像もしませんでしたが、 とりあえず、一応、その・・・予定通りというか・・なんというか。 で、今後、ある程度、関わってくると思うんですけど、 既に、今回の話で、話は逸れてるんです。困ったことに。 難しいよ!!!8(>_< ) ( >_<)8 えとね。だから、一応、あらすじ考えるでしょ? それで、書き始めると・・・・ うーん、こういう発言があったら、こう受け答えがあるからぁ・・・ んで、そうだと、こうなるだろうし・・・そうするとぉ・・・こうでぇ・・・ などと、本人しか分からん様な言葉を漏らしながら書き進むと、 うーむ、最初考えたあらすじと全然違う(--; で、どう落ちつけていいかわかんないから、とりあえずこの辺で「つづく」です。 あ、ちなみに言っとくと、あらすじ考えずに、いきなり最初の台詞書いて そのあと、無理矢理、その受け答えだけで進めた話も結構あります。 というかそういう話の方が実は多い(笑) でもですね。一応、ずっと書いてなかったわけで、つまり、その間、 なに書こうかなぁ・・・ああ、こういうの面白いかも・・ そうだ、こう書いたら、ハラハラドキドキに違いないっ! などと、ひとりでニヤニヤしてたわけでしょ?(って、(゜o ゜ )\(-_- )オイオイ) ねぇ、やっぱ、というわけで、書きたかったようにはいってませんけど、 だからといって、これ以上、更新さぼるのもヤバイので、 とりあえず、アップしときます。 ごめんなさい(ぺこり) まあ、内容はともかく、あとがき楽しみにしてくれてる人が多いみたいなんで(汗) とりあえず、そんな感じです。 それでは もし、あなたがこの話を気に入ってくれて、 そして、もしかして、つづきを読んで下さるとして、 また、次回、お会いしましょう。

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