レイが好き!
第45話
怖いもの
「で、引き取ってきたっていうわけ?」
「う、うん。そうなんだ」
「まーったく、おひとよしというか、アンタたちらしいというか・・・」
アスカは帰宅すると、部屋の中に見慣れない鳥籠をみつけて、あきれたように、呟いた。
「そんなこと言ったって・・・じゃあ、アスカだったら、どうしたっていうのさ?」
「そんなの決まってるじゃない。」
僕がそう問いかけると、アスカは自信満々にそういってから、ピッと僕を指差して続ける。
「アンタに押し付けんのよ」
アスカらしい答えに、僕が絶句して、答えられないでいると、レイが横から口をだす。
「うふふっ、やっぱり、シンジが引き取るのが一番だって、アスカもそう思うでしょ?」
「まーね。それが、おひとよしのシンジにはお似合いよね」
「うふふ、やっぱり、そうよね」
レイは、そういって、僕の顔を覗き込んで、ニコリと微笑む。も、もう!レイまで!
そんなこといったって、僕には他に方法が思いつかなかったし、実際問題、他にどうしろっていうんだよ?
「ホント、アンタバカね、例えば、そもそも、自転車置き場にそのまま置いて帰ったって、誰にも非難される筋合いはない
と思わないの?誰かが間違えて置いていったんだと思ったんなら、取りにくると思うはずじゃない。」
「そ、それは、そうかもしれないけど・・・」
「バカ正直に、交番に届けるひとなんて、アンタたちぐらいよ」
「そ、そうなのかな?」
「うふふっ、アスカでも、そのまま放置できちゃうの?」
僕が自分のバカ正直さに、少し反省して、戸惑っていると、レイがニッコリと微笑んだまま、アスカに問いかけた。
「アンタバカぁ?アタシだったら、交番になんていかないで、そのまま持って帰って、シンジに渡すに決まってるじゃない。
さあって、じゃあ、アタシはお風呂はいってこよぉ〜っと」
アスカは、少し照れたような表情で、しかし、当然というような調子で答えたあと、逃げるように去っていった。
◇ ◇ ◇
「うふふっ、シンジ、まだ考え込んでるの?」
アスカがお風呂に入りにいっても、僕はひとり考え込んでいた。僕って、そんなにお人好しなのかな?
小鳥には、トラウマがあって、こんなに怖いのに・・・それでも、やっぱり、僕には・・・引き取ることしかできなかった。
怖いからって、逃げちゃいけない。そうも思う。でも、他に方法が思いつかなかったのも事実だし・・・
確かに、たかだか小鳥一匹。いくらでも不幸な死に遭遇する小鳥はいるだろう。特に、自然界では。
この鳥も、あのまま、自転車置き場に放置されて、小さなカゴの中で・・・それだって、この小鳥の運命。
でも、僕の目の前で生きている命・・・それを僕は、見殺しにはできない。
そんなのは、当たり前の感覚だと・・・僕は、思う。でも・・・
「・・・シンジ?」
沈み込んでいる僕を心配そうにレイが覗き込む。
「う、うん。ごめん。レイ」
「ううん。わたしは・・・」
「僕は、やっぱり、そんなにお人よしなのかなって・・」
「わたしは、そういうシンジが好きだもの。だから・・・」
「レイ・・・」
僕は、顔をあげて、レイのキラキラと揺れる赤い瞳を見る。赤い瞳の中で、僕が不安そうな瞳でこちらを見ている。
僕もレイが好きだ。だから、僕はもっと強くなりたい。そう思う。でも、レイは、こんな僕を好きだと言ってくれる。
「そんなに、おひとよしなのが好きなの?レイは」
「そうよ。だって・・・じゃあ、シンジは、悪い人が好きなの?」
レイは、少し照れたように頬をピンクにした後、少し、悪戯そうな目をして、そう僕に問いかけた。
「悪い人は好きじゃないけど・・・でも、ふふふふ、意地悪な女の子なら、ちょっと好きかも」
「もう!もしかして、それって、わたしのこと?」
僕は、微笑みながらレイを見つめる。レイは少し照れたように頬をピンクに染めて、僕を見つめ返す。
レイが思いついたように、口を開く。
「でも・・・ちょっと、だけなの?」
「あはは、やっぱり、レイは意地悪だ」
「も、もう!」
レイは頬を膨らませて、そういったあと、目をふせて、続ける。
「・・・シンジほどじゃないと思うわ」
「え? 僕が?」
「そうよ。だって、シンジ、教えてくれなかったじゃない。」
「・・・うん。ごめん」
僕は言えなかったんだ。小鳥が怖いだなんて・・・、レイに知られたくなかったのだろうか?
別に、知られたからといって、どうということもない・・・ような気はする。ただ・・・
「でも、言うキッカケがなかっただけで、別に隠してたわけじゃ・・・」
「そうなの? ホント?」
「ほ、ほんとだよ」
「それじゃ、教えて! 他にシンジが怖いものって、ある?」
「え?・・・別に、他には特にはないと思うけど・・・そ、その・・・急に言われても」
「ふふふ、わたし、ひとつ知ってる」
「なに?」
「アスカ・・・でしょ?」
「そ、そうだね。でも、アスカよりも、もっと怖い女の子もいるけどね」
「それ・・・もしかして・・・」
レイが僕のことをキッと睨みつける。
「あはは、ほらね」
「もう! シンジなんて、大っ嫌い!」
つづく
あとがき
えと・・・筆者です。
なんというか、「名前」というタイトルのはずだったんですけど・・・なかなか、「名前」にならない(笑)
でも、このまま放置しておくと、このまんまになりそうな予感(^^;
というわけで、一応、それっぽくオチ(?)をつけて、つづく、です。
うぅ・・・このオチ・・・まだ、引きずってるし →これです(-_-;;
いや、なかなか書けなくって・・・と、いいつつ、投稿作品を2つも書いてたりする(現時点では未だ掲載されてないけど)
なので、そのうち、お楽しみに(^_^)/ と、期待させてるほどのこともないかも
一応、レイが好き!再起動して、カウンタの動きなんかも見てるんですが、なんか、再起動前と、まったく変化しないね。
まあ、いいんだけど・・・1日あたり、5〜10ヒットって感じ。
やっぱ、題材的に、いまどき・・・なんでしょうねぇ・・・・・・・・・・(遠い目)
まあ、いいです。とにかく、自己満足というか、衝動が抑えられないだけで書いてるページですから!
とゆわけで、次こそは、「名前」だ!・・・まだ、考え中ですが(爆)
一応、月刊ぐらいをめざしてみようかと(^^;
それでは、
もし、あなたがこの話を気に入ってくださったとして、
そして、もしかして、つづきを読んで下さるとして、
また、次回、お会いしましょう。
2015年8月5日 某所にて
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